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「ふぁ~……スッキリした~」


ゆっくり丁寧に身体を洗い、心ゆくまで風呂に浸かり、肌も髪ものんびりと念入りに手入れして、心身共にリフレッシュ! 

頭痛も治ったし、馬鹿共は追い出したし、快適な一日になりそうだ!



――と、なれば良かったんだけどな。


ガチャ。


「……信じらんねぇ。まだいたのかよ……」


気配がするから嫌な予感がして玄関を開けてみれば、正座をした大の大人が二人。

何でだよずっとここにいるとか馬鹿じゃねぇの。馬鹿だったな。


「近所の人通らなかったのか?」


私とリクが住んでるのは駅近のマンション。利便性が高く人気の物件。

当然、両隣とも人が住んでいる。


「通ったよぉ。お隣さんが!」

「うわぁ……」


もしかしなくても、お隣さんにプレイの一環と思われたろこれ。

次お隣さんとどんな顔して会えば……まぁ私は生活習慣違うから会う確率低いけど……そういうこっちゃねぇんだよ。私にはちゃんと羞恥心というものがあるんだよ……


「マジで勘弁しろよ。私まで変態の一員だと思われるだろうが。次はちゃんと()()()()()んトコなり何なり行ってくれ」


服と一緒に放り出したんだから出来たはずだ。

こいつらのスマホも財布も全部ポケットに入ってるんだから。


「服は着たよ?」

「当たり前だろはっ倒すぞ」


リクが不思議そうに首を傾げるが、おまえのが心底不思議でたまらねーよ。何その明後日の方向。言葉のキャッチボールって知ってる?

元々変態だったのに、真正の変態になりつつある今日この頃。

ルームシェア考え直した方が良いか? でも良い立地での家賃折半の魅力はそう簡単に手放せない。


「つーか、カナメ。何でおまえまで付き合った? 止めろよ」


正座の発案者は間違いなくリクだろ。何で乗っかったんだよ。

カナメはタチだからSだと勝手に思ってたが実はMなの? そうなの? ほら、すげぇ痺れてんじゃん。ぷるぷるしてんじゃん。こんなコンクリートの廊下で正座してたらそりゃそーなるわ。


「最終的に一番恥ずかしい思いするのキョウになると思って」

「大正解だよクソ野郎」


愉しそうに言ってのけるカナメに殺意が湧く。


「しっかしキョウってすげぇ長風呂なのな。まさか二時間ここで正座すると思わなかった」


カナメが非難めいた様子で不満を口にしてくるけど、私は正座しろなんて言ってねぇ。自主的にやったくせに何故こっちに不満をぶつける?


「キョウちゃぁん。ごめんなさいやり過ぎましたぁ。許して?」


リクが膝立ちになり、私の腰に抱きついてくる。

こいつは何でこんなに余裕そうなの?


「本当に反省してるのかよ。あーもー抱きつくな」

「もちろん反省してるよぉ。だから正座してずっとここにいたんだよぉ」

「本当に反省してたら、同居人に恥をかかせるような方法は取らねーんだよ変態野郎」

「……ん。変態じゃないもん……」

「止めろ止めろ。何でちょっと嬉しそうなんだよ……」


端から見ればイケメンのもじもじと恥じらう姿は可愛いのだろうが、経緯が経緯だけにドン引きだ。


って、階段の方で音したぞ。誰か来る!


「ちっ! 早く部屋入れ。二人とも」

「わあい! 許してくれるの!? 大好きキョウちゃん!」

「キョウは何だかんだ甘いよなァ。でも好きだぜそーゆートコ」

「勘違いするな。これ以上近所に迷惑かけられないだけだ。くそっ。早よ入れ馬鹿共!」


立ち上がって背中に覆い被さってくる馬鹿を家の廊下に背負い投げ、足が痺れて自力で立ち上がれない馬鹿も引っ張り上げて家の中に投げ飛ばす。


「……疲れた」


折角風呂入ってリフレッシュしたのになぁ……

あ~あ……


頑張れキョウ! 負けるなキョウ! 若い君の未来は明るい……はずだ!

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