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「ハァ~。俺の身体見てもそんなに反応がないなんて、自信失くしちまうな~」
「こっち見んな。下半身見んな止めろ」
「キョウちゃんのキョウちゃん元気なーい!」
「元からついてねぇ!!」
はぁっ、も、いっ、いってぇ。頭痛ぇ……朝からこの二人相手すんのキッツイ……
普段からリクだけでもあれなのに揃ってんじゃねぇよくそったれ……
精神がガリガリ消耗するわ、身体もスーツで寝たせいか疲れが取れてないわで、何コレ私可哀想。誰か慰めて欲しい。
つか、スーツがぐちゃぐちゃのシワシワ。クリーニング、は高ぇからアイロンだなぁ。この前奮発して買ったやつ結構使えるんだよな。
欠伸を噛み殺しながら、怠い身体に鞭打ってベッドから這い出す。
凝った首をゴキッと鳴らすと、その拍子に前髪が顔に垂れてきたので、何気なくかき上げた。
ん、長くなってきたな。そろそろ切るか。
「……っは。やっばぁ。キョウちゃん寝起きの色気すご……たまんないんだけど、その仕草」
「エッロいなァ。ほんと、何で男じゃねーのかね。そこ以外は超好み」
好き勝手言っているが、毎度の事なのでスルー。
こいつら、私の見た目がタイプなんだと。全然嬉しくないけど。
「カナメ、ゴーホームだ。ついでにリクも」
とりあえず、十連勤明けの休暇をゆったり一人で楽しみたいので、早急にお帰りいただきたい。
そんな思いを込めて私がピッと玄関の方向を指差すと、リクがバッと立ち上がって詰め寄って来て、ドア付近にいたカナメもバッと近づいて来た。
何。次は何。
「何ですって!? 私を追い出すって言うの!? まさか……浮気!? 浮気なのねッ!!」
「ヒドイわッ! 私のことは遊びだったの!? あんなに愛し合ったのに!!」
「…………」
やってたのおまえらだろ……何だこの茶番……
キモイ裏声で悪乗りするこいつらに付き合う気力も義理も無いので、私は無言で部屋を出て行く。
シャワー浴びて、ちゃんと風呂もためて肩まで浸かろ。入浴剤あったかな? 柚子の香りがあったような気がするんだよな~。炭酸のシュワシュワするやつ。どこの棚にしまったっけ。
「お、キョウ。もしかして風呂行くの? いいね。俺もさっぱりしたい」
めげないカナメが私の肩に腕を載せ、もう片方の手で私の頬をツツーと撫でる。
煙草消せっつったろ煙たいんだよニコ中野郎。
「もぉ~キョウちゃんったら朝から大胆! でも嬉しい!」
さっきから私が一言も発してないのに、まるで一緒に入るの決定事項みたいに言ってくるこいつらの頭かち割って調べてみたい。
「キョウの肌弱そうだから、タオルじゃなくて手で洗おうな」
「洗いっこしようねキョウちゃん。俺のことも優しくしてね?」
リクは私の首筋に頬ずりすると、そのまま両手を私の腰に回してきた。
「キョウちゃん、腰細いねぇ」
リクは甘ったるい声で囁きながら、手を私のシャツの中に滑り込ませ、舐めるような手つきで背中を撫で上げ――
ぷちっ。
「出て行け変態共ッ!!」
「「うぐぉッ!!?」」
玄関の外へ蹴り飛ばす。
とっても親切な私は、奴らの服も投げ捨ててあげた。
こいつらが公然猥褻罪で捕まっても知らねーけど、周りの人が不快な思いしたら申し訳ないもんな。周囲への配慮って大事!
変態共が捨てるのか絶対別れないと、でけぇ声で茶番を続けようとするので、それ以上無駄口叩いたら金○潰すと釘を刺したらキュッと股間を押さえて黙った。
最初からそうしてろ。