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夢の中の自由譚  作者: flaiy
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アクアは強いそうです

 男の剣がオレンジの光を散らす。どんな攻撃が来るか分からない以上、俺は回避行動はとれない。空を飛ぼうにも、周囲は木々が生茂り翼を動かす範囲が狭すぎる。かくなる上は、防御モーションだ。


 剣を正面に、刀身を左手で押さえて腰を落とす。視界の右寄りに紫のゲージが表示される。


 ──耐えろ……!


 俺がそう念じた瞬間、男は地面を蹴り──光となって消えた。その瞬間、ファンファーレと共に俺の視界にレベルアップの通知ウインドウが現れた。


「……はぇ?」


「熊に食べられた時はドラゴン倒したとか疑ってたけど、意外といい動きするんだね君」


「……はっ」


 男の光が消えた場所からアクアが姿を見せた。俺はついさっきまでアクアと三人のプレイヤーが戦っていた場所に視線を向ける。そこには、戦いの痕跡すらなく男三人は消滅していた。


「……ソロで、三人?」


「うん。これでも私、PS(プレイヤースキル)で名前売ってるんだよ。ランキング圏外……百位より下のプレイヤー三人くらい、何とでもなるよ。ちなみに今私はレベル二十一、十八位の人のレベルは多分二十四ね」


 確かに、アクアよりランキングの低い人の方がレベルが高い。そのランキングをどうやって出しているのか分からないが、少なくともアクアはレベルだけでなく、個人の腕前だけでもそれなりに強いのだろう。


「プレイヤーキルは経験値多いからね。レベル上がったでしょ? さっきファンファーレ鳴ってたし」


「う、うん。お陰様で……そういや、このゲームの最高レベルって今いくつなの?」


「トップスリーは分かるよ。三位のヨルヒコが三十二、二位のウィッシュが三十八、一位のレックスがただ一人の四十越えで、四十五レベ」


「四十五……」


「このゲームでてから数ヶ月経つけど、この三人はニートでずっとログインしてるんじゃないかって噂立ってるんだよー」


「へ、へぇ……」


 俺が四十五になるのは、何ヶ月後のことかな……


「じゃあ、今日はお開きにする? 私夕飯食べ終わってるし、まだしばらくはいけるけど」


「うーん……いや、今日はいいや。ちょっと町の中も見て回りたいしね」


「そっか。じゃ、町まで戻ろ。また変なのに突っかかって行かないでよね」


「ご、ごめんて……でも、黄色い魔法少女みたいに食われるとか言ってたけど、十年以上前のネタなのによく知ってるね」


「ふぇ⁉︎ それは、その……と、友達が言ってたの!」


「へえ」


 別段深い興味はなかったので、そういうことにして町へと俺は足を向けた。


「……いかん、ついこっちだと言ってしまう……隠れオタクなの、バレないようにしないと……」


「何か言った?」


「なんでもない!」



 町に戻ると、アクアとは一旦別れた。フレンド登録しておいたので、いつでもメッセを飛ばせるので、必要があればまた呼び付けてと言われている。


「……さて。何から見て回ろうかな」


 アクアからマップを提供してもらい、どこにどんな店があるかも聞いてある。マップにそれをメモしているので、興味が湧いたところから行こうと思っている。


「ふむ。武器屋か……レベル上がって装備容量が上がったけど……一応見に行ってみるか」


 今の装備は「天使の制服・装備容量4」「スチールソード・装備容量2」「ブロンズプレート・装備容量2」だ。レベル三になり装備容量の限界が十二になったため、武器を一段階強くすることくらいできないだろうか、と思って武器屋に来てみた。


 プレイヤー四人をアクアがキルしたことにより、俺の方にも多少なりレスが入ったので、装備容量四や五くらいは買えると予想して武器屋に向かう。


「これが武器屋か」


 店頭に十数種類の武器が並べられている。でも、どれもそう強そうには見えないため、多分初期の装備なのだろう。


「あの、片手剣他にないですか?」


 そう訊ねると、店主は一度奥に入って何本かの片手剣を出してくる。すると、手元にレストランで見たのとよく似た、メニューのようなウィンドウが現れる。一番上に安いもの、下に行くほど高いものだ。現状買うことができる片手剣は七種類だそうで、上から「スチールソード」「クイックソード」「レッドソード」「ブルーソード」「グリーンソード」「ブラウンソード」「アイアンソード」だ。カラー系は攻撃に魔法属性が付与されるらしい。


「アイアンソードの装備容量が十二……無理か。これ装備したら全裸になるな……クイックソードは容量四。軽めだな。んー……今日サラマンダーに襲われたし……また来ないとも限らないから、ブルーにしておこうかな。容量も五でちょうどいいし」


 ブルーソードをタップし、代金を支払う。所持金の七割が消滅した。店主が刀身が青みがかった剣を手渡してきて、俺はそれを受け取る。


 ストレージにしまい、スチールソードの替わりに装備する。すると、スチールソードが鞘ごと消滅し鞘に入ったブルーソードが俺の腰に現れる。スチールソードよりも少し重いが、どことなく頼りになりそうな気がした。


「うぅ……なんかまたフィールドに行きたくなってきた……でも、もう十時なんだよな。あまり遅くなると羽暮に怒られそうだし……しょうがない。どっか店で何か食べてから落ちよ」


 そして、アクアから教えてもらったよさそうなお店を探し、十分程かけてその店を見つける。その店はアクア曰く、お菓子が美味しいそうだ。オススメはシュークリームだそうだ。


 例に倣いレストランと看板に書かれた店に入り、いているようなのでテーブル席に着く。


 メニューウィンドウからシュークリームとコーヒーを注文すると、三分ほどで店員のNPCが持ってきた。


「でか!」


 そのサイズはハンドボールレベルだろう。三号球とは言わないが、二号球レベルのデカさはあるかもしれない。VRならではのデカさかもしれぬ。現実だと崩れそうだし。


 そのドデカイシュークリームにドキドキしながら、俺はズッシリと重みのくるシュークリームを、両手で持ち上げる。そして、一口噛み付くと、サクッとした皮を歯が突き破り、強すぎない甘さのクリームが口いっぱいに広がった。


「うまぁい……」


 こうして自分で食べるというのも、美味いと感じる理由かもしれない。何せ、現実ではこうやって自分の手を動かして食べることなど出来ないのだから──その時だった。


「相席、いいかな?」


 フードを目深に被った、男とも女とも見分けられない謎の人物が、相席を頼んできた。他の席はまだいくつも空いていることから考えると、俺に用事があるのだろうか。


 ──天使ってそこまで珍しいのかな……?


「んぐっ……どうぞ」


 口の中のシュークリームを飲み込み、俺はその人物の相席の申し出を受け入れた。

毎日とは行かないものの、18時に予約投稿するようにするので、18時になったら確認してもらえると助かります。投稿してなかったら気分が乗らなかったんだな、それか何かあったんだな、宿題に追われてるんだな、とお考えください

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