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88『情報収集』

第90回 今日の一冊に掲載されました。

 ある程度食事が進むとラドヤードはそれこそがメインの交流を始めた。

 情報収集。

 今までギルドでそれなりの情報を得ていたが、腰を落ち着ける場を選ぶほどのものはなかった。


「なあ、この国の冬はどのくらい寒くなるんだ?

 冬籠りは必要か?」


「そうだな……

 今まであんたたちがいたところはどうだったのか知らないが、冬季に町や村から出るものはまあ、いないな。

 雪は酷い時には1mを楽に越えるほど降る」


 やはり冬季の移動はアウトである。

 今は、あっという間に夏を通り越し、初秋であるが、秋の期間はその場所その場所で変わってくる。


「ぶっちゃけ、あとどのくらいで雪が降りだす?」


「このあたりはふた月くらいだが、領都のあたりだともう少し早いかもしれない。

 あのあたりの方が高地なんだ」


「この村から領都までどのくらいの距離があって何日くらいかかる?

 もしよければ地図を見せてもらえれば嬉しいのだが」


 ラドヤードの申し出に兵士長は少し考える仕草を見せたが、すぐに部下に命じて地図を持ってこさせた。


「これを譲ることは出来ないが、自由に見てくれ。

 写してもらっても構わない」


「良いのか?」


 ラドヤードは驚きながらも態度には出さずに聞いた。

 国によっては【地図】は軍事機密に類される。

 書写は固く禁じられている場合もあるのだ。


「どうせ領都に行けばギルドで売っているので問題ない」


 どうやらこの領は寛大な考え方の領主が治めているようだ。


「ありがたく写させていただく」


 ラドヤードは己の前の食器を片付け、羊皮紙とインクとペンを取り出した。

 そして手慣れた様子でペンを走らせていく。

 それを覗き込んでいる兵士たちは単にラドヤードの技術を感心して見ているだけだ。


「あんた上手いなあ。

 それだけ書ける奴は中々居ないぜ」


 兵士たちの中でも一際人なつこいものが声を掛けてくる。


「ああ、俺は冒険者が長いから慣れてるんだよ」


 そう言ったラドヤードは思い出したように左肘に触れた。

【サムソン】だった時の冒険者生活は、裏切りと言う突然の出来事で終わりを告げた。

 今自分は【ラドヤード】として生まれ変わっているのだ。

 一瞬、自虐的な笑いを浮かべるとラドヤードは再び地図に向き合った。

 その後、兵士たちからのアドバイスなどを書き込みながら、夜は更けていく。




「どうでした? ラド」


 あたりが薄明るくなる夜明け前、ラドヤードは雑談の中から有用な情報をたくさん集めてゲルに戻ってきた。

 そこにはジェラルディンがソファーに座って待っていた。


「お待たせして申し訳ございません。

 食事会は思ったよりも有益な情報が得られました。

 書き写しですが地図も手に入りましたし、なによりも冬の情報を仕入れることが出来ました」


「まあ、それは良かったこと。

 で、どうでした?」


「結論から申しますと、早めに動いた方が良さそうですね。

 ただこの国は、特に秋の間の森の恵みが豊かだそうで、主人様は採取をなさりたいのではないでしょうか」


「ええ、ぜひ採取したいわ」


 これで今日からの行動が決まった。


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