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31『ギルドでアララートと』

 昨夜の気疲れした会話を思い出し、ジェラルディンは幾分ホッとしていた。

 王の話では、国としてもバラデュール家としても、もう捜索隊は出ていないと言う。

 これからは追手を気にする事なく旅が出来そうだが警戒は怠らずに居るつもりだ。




 冒険者ギルドを訪れたジェラルディンは早速、会議室のようなところに通された。


「わざわざお越しいただきありがとうございます。

 昨日お預かりしたキラーグリズリーの査定が終わりましたのでお支払いするのと、冒険者登録の時にするべきであった説明を書面にしたためた冊子を渡したいと思います」


 まず差し出されたのはさほど厚みのない冊子だった。

 勧められて手にしたジェラルディンは早速開いて目を通す。

 そこには冒険者の心得とルールなどが簡単にまとめられていた。


「概ね常識的な内容ですね。

 受付の方は凄いですね。これを口頭で説明なさるのでしょう?」


「冒険者は文字を読めないものも多いですから。

 真剣に聞いているものは少ないと思いますよ」


 だから度々トラブルが起きるのだとアララートは思う。


「では次はお支払いの方ですが、キラーグリズリーの持ち込み自体珍しいので、結構なお値段が付きました。

 まずは討伐依頼が金貨100枚、こちらはかなり長い間依頼が達成されなかったので金額が上がったようですね。

 次は素材採集依頼で肝が金貨60枚、毛皮が、これがとても状態が良いので金貨100枚、肉が金貨25枚、骨が金貨10枚、合計295枚です。

 税金、手数料は引いてありますので、改めて納税する事はありませんので」


「まあ、あんな熊さんが結構なお値段になるのね。

 また色々お売りしたいわ」


 熊さん!

 このルディンという少女には、あの凶悪なキラーグリズリーも “ 熊さん ”に見えると言うのか。

 アララートは思わず信じられないといった目でジェラルディンを見てしまったが、本人は平然としている。


「では、こちらが今回の報酬 295枚です。

 他にも何かございましたらよろしくお願いします」


「ええ、追い追いお願い致しますわ」


 和かに微笑むジェラルディンにアララートは話題を変えて話始めた。


「ところでルディン嬢はこの町で越冬なさるのででしょうか?」


「はい、そのつもりです」


「ルディン嬢は今、宿にお泊りでしょう?

 どうでしょうか、借家を借りられたら」


 ジェラルディンは5日間の宿泊費に金貨10枚を支払っている。たしかに借家の方が経済的であるし、何よりも他人の目を気にしなくてよい。


「そうですね。

 それは良いアイデアですわ。

 良いことを教えていただきました。

 ではこのあと早速不動産屋に行ってみます。恐れ入りますがどこか良心的な不動産屋を紹介していただけないでしょうか」


「わかりました。

 冒険者ギルドと取引のある不動産屋を紹介致します。

 私の業務が終わる、午後からでよろしいですか?」


「すみません、お手数かけます。

 それからあの、アララートさん、もう少し砕けた話し方でお願いできますか?

 私は今はもう、貴族ではないのですから」


「では……ルディンさん。

 私は3刻くらいには身体が空きますのでご案内しますね」


 ジェラルディンは中途半端に時間が空いてしまった。


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