301『決戦前夜』
2カ所目の村を制圧した一行はここをベースキャンプとし、斥候のスキルを持つ騎士を3カ所目の村に向かわせた。
そうしてジェラルディンたちバラデュール家のものとオリヴェル、リカルドはひと息つく。
「今の間に食事にしましょう。
あとは斥候の彼が戻ってきてから決めましょう……よろしくて?」
オリヴェル、リカルドと共に騎士団隊長も頷いた。
タリアとラドヤードはすでに準備に入っている。
「お嬢様、今夜はここで野営となるでしょうか?」
ジェラルディンたちの席を調えながらタリアが聞いてくる。
「もう昼過ぎだし、おそらくそうなるでしょうね。
さて、向こうの村はどのような状況になっているのかしら」
大体の想像はついているが、もしそうなら闇雲に突っ込むわけにはいかない。
あちら側の魔法士はそれなりに有能なのだ。
遅めの昼食は色々な具を挟んだロールサンドと根菜のミネストローネ。
騎士たちはそそくさと、ジェラルディンはゆったりと食事を済ませて、斥候の帰りを待った。
予想より遅い、夜闇が迫る頃斥候の騎士2人がようやく戻ってきた。
彼らはすぐにジェラルディンのゲルに招き入れられる。
そこにはオリヴェルやリカルドも含め騎士団の隊長が集まっていた。
「ご苦労様。
まずはお茶でも飲んで、ひと息ついてちょうだい。
座って楽にしても良くってよ」
隊長に目を向けると頷かれて、2人は一気に紅茶をあおった。
そして懐からよれよれの布を取り出すとテーブルに置いた。
その布には村の建物の配置図や人数、その役割などが細かく書かれている。
「よく頑張ってくれたわね。
オリヴェル、後でちゃんと報いなければダメよ。
さて、まずは話を聞きましょう」
「では盗賊団は村を本拠地にしようとしているのね?」
「はい、今はかなりの規模の建物と村の周りをぐるりとめぐらせる木の外壁を作っています」
例の布には現在どこまで完成しているか詳しく書いてある。
「盗賊らはおそらく500人近くはいると思われます。
それに我々が観察していた間も奴らに頭を垂れる連中が合流しておりました」
「それは拙いわね」
この盗賊団の噂を聞きつけた盗賊たちが次々と合流しているのなら問題である。
今は500人ほどだが、放っておくとあっという間に膨れ上がってしまうだろう。
「なんとしても今、殲滅せねばならんな」
オリヴェルが立ち上がった。
「夜が明ける前の早朝に突入する。
皆に気を引き締めさせよ」
隣でジェラルディンが頷いていた。




