299『接触』
街道から外れて半日ほど。
盗賊団に占拠された村には厳つい盗賊らしき者たち以外、人影がない。
なによりも今は昼間なのに村はずれの農地にも作業をしているものはひとりも見当たらない。
「おそらく奴隷商に売られたのでしょう。
ちょうど小麦の収穫を終えた後で、おそらくだが盗賊団はそのタイミングを図って村を襲撃したのだと思います」
リカルドと同行していた、領内を取りまとめている代官がそう説明する。
「人数といい……もう小さな領地のようね……もちろんやってることは悪辣だけど」
そんな会話の間にオリヴェルやリカルド、それに騎士団は突入の準備を整えていた。
「よし、では行くぞ」
木の影や草むらに隠れて村に近づき、見張りをしていた盗賊の喉をナイフで抉った。
そして全員が村の敷地の中に入った事を確認したオリヴェルとリカルドが、村全体を包むように結界を張った。
「これが本当の一網打尽?
でも残念ながら、ここにはそれほどの人数はいないわ。
そうね……30人くらいかしら」
ラドヤードとタリアが脇を固めるジェラルディンを残して他の男たちは剣を片手に走り出す。
彼らに気づいた見張りの者や屋内にいた連中が飛び出してきたが、練度の高い騎士団の敵ではなかった。
今回、盗賊団の生死は問わないので討伐隊は遠慮なく剣を振るうことができる。
結界を張り続けているため、魔力量が少ないリカルドには無理だが、オリヴェルは得意な風魔法を使い、逃げようとした盗賊の足を切り裂いた。
「今回は、私の出番はなさそうね」
容赦ない攻撃に盗賊たちはあっという間に殲滅された。
盗賊の骸をひとところに集めたあと、騎士団は手分けして村の建物の中を調べて回った。
もう盗賊団の生き残りがいないのはジェラルディンの探索でチェック済みなので、あとは確認のみなのだ。
ちなみに生存者がいないことも確認済みだ。
「やはり遺体は数体しかありませんね。あちらにまとめて埋めてありました」
騎士団の隊長がご丁寧にも掘り返したようだ。
「そう、他の人はアジトに連れて行かれたか、それからすでに売られてしまったか……」
ジェラルディンたちは次の村に向かうことにする。
次の村に向かうジェラルディンたちは、夜間も強行軍で進んでいた。
そこに村と村を繋ぐ道はあるが、彼らはあえて森の中を進んでいた。
「何か近づいてきています。
人ではありません、魔獣ですが……少し反応が変です」
ジェラルディンの言葉に目を凝らした視力のよい騎士が、それを見つけた。
「あれは!?」




