261『またまた盗賊団殲滅』
王都への道中は概ね順調だった。
2日目の夕刻に現れた盗賊も、ジェラルディンやラドヤードが手を出さずとも討伐されている。
そしてこの襲撃の時、ジェラルディンは自分の索敵の範囲が格段に広がっていることに気がついた。
「レベルが上がった?」
「主人様どうかしました?」
ぼんやりと中空を見つめる主人に、ラドヤードは眉をひそめた。
「何でもないわ……
今日はここで野営をするのかしら」
「血の臭いで魔獣が寄ってくるでしょうから剥ぎ取りが終わったら少し移動するでしょう。
……野営場所は街道沿いの道端かもしれませんね」
ラドヤードの話に生返事をしたジェラルディンはまだ索敵図に夢中だ。
何とそこには恐らく先ほどの盗賊団のアジトであろう場所が表示されている。
そこにはまだかなりの人数がいるようで、そこは真っ赤に染まっている。
どうやら地元を縄張りとしている盗賊団のようだ。
ジェラルディンはラドヤードをチラリと見遣り、考えを纏める。
『この距離なら一晩あれば行って帰って来ることが出来そうね。
久しぶりに楽しみだわ』
ジェラルディンは盗賊団を殲滅して彼らのお宝を強奪することが大好きだ。
側から見れば悪趣味だが誰の迷惑にもならない、世のため人のためジェラルディンのためになるのだ。
「ラド、今日は少し疲れたからゲルを出したらすぐに休ませてもらうわ。
食事もゲルの中で摂ります」
このジェラルディンのゲルは初日から皆を驚かせた。
乗客たちはジェラルディンのことをただの富裕層の令嬢だと思っていたが、このような魔導具を持っているのは只者ではない。
「ではラド、行って来ますね」
そう言って、スッと影の中に潜んだジェラルディンは白黒の世界を進んでいく。
「あら……?
気のせいかしら。
一度に進む距離が増えている?」
今までは影の中、見通せる距離をジャンプするような感覚だったが、今回のそれはまるで転移しているようだ。
なのでサクサクと進む。
盗賊団のアジトは、森の中に打ち捨てられた寒村のその成れの果ての中、教会だったと思しき建物がそれのようだ。
影の中のジェラルディンは音もなく近づき、見張りをしている男たちを影の棘で刺し殺す。
そして姿を現したジェラルディンは、村の中の建物をひとつひとつ異空間収納に納めていって、後はアジトである元教会の建物を残すばかりだ。
「もう邪魔くさいから一気にいってしまいましょうか。
【収納】」
これで終わりである。
元教会の建物ごと収納されて、中にいた人間は一瞬で屠られている。
今回ジェラルディンは以前に取り込んだ盗賊を含め、すべての人間をこの場に廃棄することにしてどんどんと吐き出していった。
「まあ【人間】と指定したら全裸で出てくるのね」
今回だけでなく、過去の討伐の際に溜め込んだ骸を取り出している最中に、ジェラルディンはひと目見て盗賊ではないものが混じっているのに気づいたのだが……
「あら……」
ジェラルディンの関心はその程度だった。




