247『屋台巡り』
木を削った串にオーク肉が5つ刺してあって一本銅貨80枚。
3種類の味付けがあって、まずはオーソドックスな塩胡椒味、次にタレにつけたもの、そしてそれに唐辛子が効いたものがある。
焦げ付かないよう頻繁にひっくり返しながら焼かれた串焼きは、塊1つがそれほど大きくなく、ジェラルディンでも数口で食することが出来る。
「んん〜 熱々ね。
でもほどよく脂がのって美味しいわ」
次々と味をみていって、ジェラルディンはタレつきが気に入ったようだ。
「このピリピリするのも美味しいけど、少し大人の味ね」
ラドヤードもそれに同意する。
これは麦酒と一緒に食べたら最高だと思う。
「ラド、お店の人にまとまった数を購入することが出来るか聞いてきてくれるかしら」
大賛成である。
ラドヤードはあのピリピリの串焼きで一杯やりたい。
その後、ラドヤードの交渉で比較的暇な昼下がりから夕方までの時間に焼いてくれることになった。
残念ながら今日はいつも通りの仕込みしかしていないので、3種類を10本ずつ売ってくれる事になった。
焼いてもらっている間にケバブに似た肉焼きを見つけた2人は早速購入する。
そのままでも美味そうだが、削り取った肉をあらかじめ鉄板で焼かれていた野菜……キャベツや人参、玉ねぎなどと合わせて食べさせるようになっていた。
「あれも食べてみたいわ。
ラド、買ってきてちょうだい」
大型の葉を舟形に折り、そこに山盛りの肉と野菜、木製のフォークをつけて渡されたものは銅貨80枚では安すぎるのではないかと思ってしまう。
ジェラルディンはまず薄く削がれた肉を口にした。
「美味しい……」
少し味が濃いような気もするが、屋台とは労働者を対象にしているものなので味付けが濃いのはそのせいだろう。
シャキシャキ感の残る野菜を咀嚼していて、ジェラルディンはあることを思いついてアイテムバッグからロールパンを取り出した。
「主人様?」
ロールパンに切り込みを入れ、その間に肉と野菜を適量挟む。
そして食べてみるとちょうど良い味になっていた。
「ラド、これ食べてみて」
もうひとつ作ったケバブロール(仮)をラドヤードに押し付ける。
それを彼は一口で平らげてしまった。
「主人様、これイケますね。
俺的にはもう少し味が濃くてもいいですが、パンによく合います」
「じゃあ、今度はこれを付けてみて……」
新たに作ったケバブロール(仮)に粒マスタードを付けてラドヤードに渡す。
彼は今度は半分を齧ってみて、目に喜色の色を浮かべた。
「イケます。この粒マスタードがよく合ってます」
それなりに賑やかな食事風景だったのだろう。
ちらほらとジェラルディンたちを見て通り過ぎて行く者もいる。
そんななか近づいてきたのはケバブ屋の主人だ。
「なあ、あんたたちが食べてるの、それは何だ?」
興味津々といった様子で、ラドヤードの手にあるケバブロール(仮)を見つめていた。




