240『国境の村』
オストネフ皇国最初の村は、村とは名ばかりの規模の村だった。
ほとんど町と変わらない大きさの冒険者ギルドや道を行き交う冒険者たちの数が、ここが国境の村だということを証明していた。
「さすがにあれほどの魔獣が出没する難所に隣接しているだけはあるわ。
店舗の数は少ないけど品揃えは充実しているようね」
すべての馬車と人員の入国審査が終わり、無事村に入ったジェラルディンたちは割り当てられた宿に到着する。
「私は各宿に収まった馬車を見てきますので、ルディン嬢は先にお部屋でご休憩なさって下さい」
「お言葉に甘えさせていただきますわ、サンドリアンさん。
では、また後ほど」
マンセを出発して2ヶ月を越えた。
途中、思わぬ事態が重なり、隊商は2つに分かれることになった。
ジェラルディンたちは本来の目的地であるベルゲンボス王国のバーゲンで旅を終えたボドリヤールと別れて、新たに加わった馬車とともに国境を越えて来たのだ。
「ルディン嬢、ようやく目的のオストネフ皇国に入国しましたが、貴方方は王都を目指してらっしゃるのですね?」
夕食の最中にサンドリアンが聞いてきた。
「はい、そうです」
「我々の隊商はこの先の商都アルベモフが終着ですが、そこからは乗り合い馬車も頻繁に出ていると聞いています」
「では、そのアルベモフからは比較的簡単に王都に行けるのですね?」
「はい、あちらに着いたら商業ギルドにお供させていただきます。
ここまで色々ありましたが、あと少しですね」
もう初秋である。
「アルベモフまではここから10日ほどの距離です。
オストネフ皇国の国土は広いですが、王都までひと月はかからないでしょう」
ジェラルディンは、王都には長居するつもりでいるのでまた冬を越すことを考えなければならない。
資金は十分あるが、金子はあって困るものではない。
「今まで以上に各ギルドにはポーションを売り込みましょう。
まずはこの村の冒険者ギルドに明日、朝一で向かおうと思うのですが、時間的に余裕ありますか?」
「私もギルドに行きますので大丈夫ですよ。
それよりも少しご相談があるのですが」
「何でしょうか?」
ジェラルディンが首を傾げる。
「ポーションを譲っていただきたいのです」
サンドリアンも隊商の責任者としてそれなりの数のポーションは持ち合わせていた。
だが昨夜の襲撃で怪我をした冒険者にそのいくつかを譲っていたのだ。
「もちろん構いませんが、おいくつほどお渡ししましょうか?」
「今回提供したのが10本でしたので、最低それだけはお願いしたい」
注文ゲットである。




