表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

221/314

221『負傷したドゥワーム』

 普段のジェラルディンは、決して沸点が低い訳ではない。

 だがこの襲撃者たちは、絶対に触れてはならないところに触れてしまったようだ。


「主人様、お怪我は?」


 横倒しになり引きずられた馬車の陰でドゥワームが縮こまって震えている。

 落車した時に強かに打ち付けた身体はあちこちから出血していた。


「私は大丈夫よ。

 それよりもラドは?

 ドゥワーム、出血してるのではないの?」


 這うようにして近づいたジェラルディンは、そっと顔を上げさせた。


「ドゥワーム……

 大丈夫よ。さあ、これを飲んで」


 俯いていて気づくのが遅れたが、ドゥワームの頭部からはかなりの出血がある。

 ジェラルディンはアイテムバッグから中級ポーションを取り出し、口許に近づけた。


「ゆっくり、ゆっくりでいいのよ。

 そう、上手に飲めたわね。

 ほら、もう一本。今度はひとりで飲めるわね?」


 黙ったままジェラルディンの指示通りにするドゥワームから手を離して、新たに取り出したポーションを頭からかけた。


「もうこれで心配ないわ。

 でもしばらくは動かずにいてね」


 今はもうポーションで治療されて問題ないが、実はドゥワームの容態は予断を許さない状態だった。

 全身を、特に頭部を強打したドゥワームの脳から出血していて、あのままでは確実に死亡していただろう。


「できればしばらく横になっていて欲しいのだけど」


 ジェラルディンはチラリとラドヤードを見る。


「主人様……

 現在の状況ですが、主人様も感じられている通り、奇襲を仕掛けてきたのはおそらく5名ほど。

 彼らの目的は隊商の足留めでしょう」


 ジェラルディンは馬車の陰からじっと状況を見つめている。


「そうね、5人いるわ。

 そしてもう、引き上げようとしている」


「主人様、駄目です」


「ラド!」


 ジェラルディンが常にない勢いでラドヤードの名を呼んだ。


「私は奴らが許せないのよ。

 盗賊団、目にもの見せてくれるわ」


「だが危険です!」


「なぜ危険だと思うの?

 影に潜む私が、連中に知られずに事を成し遂げるのは難しくないと思うけど?」


「では俺も」


「あなたは隠れられないでしょう?

 それでは連中に気づかれずに後を追う事は出来ないわ」


「それでも、俺はあなたの護衛です」


「では主人として命令するわ。

 ラドヤード、あなたはこの場に残り、ドゥワームを守りながら現状を把握しなさい」


「……はい、わかりました」


 主人にそう言われてしまうと、ラドヤードはもう何も言えなくなってしまう。

 それでも護衛としては忸怩たる思いでいっぱいだ。


「連中の影に潜んでアジトまで行ってくるわ。

 ……おそらく、隊商はしばらく動けないだろうから哨戒をお願い」


 アジトまでどの位離れているのか、ここでジェラルディンは隊商とは別行動となる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ