203『打ち合わせとポーション販売』
ジェラルディンたちがギルドに着くと、すでに先方は到着していてスーザンと話し合いの最中だった。
「お待たせしました」
職員に案内され、通された部屋は2階の会議室のようなところで、机の上には書類や地図が広げられていた。
「ルディン様、いらっしゃいませ。
こちらが今回の隊商のリーダー、ボドリヤールさんです」
「はじめまして、この度はよろしくお願いします」
「ご紹介に預かりました、ボドリヤールです。
60日を予定している長い旅ですが、こちらこそよろしくお願いします」
双方礼儀正しく挨拶し、席に着く。
ラドヤードはジェラルディンの後ろで立ったままだ。
「まずは大まかに行程を説明させていただきます」
広げられた地図のピンが刺さった場所が、このマンセであるようだ。
そこから出発して、丸印がつけられた町を経由しながら国境に向かい、国越えののちベルゲンボス国のバーゲンに至る。
「きっちり60日で到着する確証はありません。それでもよろしいですね?」
「ええ、天候などで遅れることがあるのは理解しています」
この後、細かい取り決め……例えば食事は自前だとか、馬車旅では常識なことをいくつか取り上げ、2日後の早朝、集合場所を確かめてボドリヤールとは別れ、また別の部屋に案内された。
「ルディン様、昨日お願いしたポーション、揃いましたでしょうか?」
今度はスーザンだけでなく新たに薬剤専門の職員と、見るからに商人然とした男が3名、ジェラルディンに会釈してきた。
「ええ、指定された本数にまだ余裕があります」
まず、机の上に出されたのは木箱に入った下級ポーションが100本。
そして中級ポーションが60本だ。
他に、各状態異常回復剤が含まれていた。
「昨日預かったポーションの鑑定の結果、下級ポーションを金貨12枚、中級ポーションを金貨35枚で引き取らせていただきます。
それと状態異常回復剤ですが、石化以外は金貨5枚、石化は金貨20枚でお願いします」
下級ポーション12×100=1200。
中級ポーション35×60=2100
状態異常回復剤(毒、麻痺、眠り、痺れ)(50×5)×4=1000
状態異常回復剤(石化)20×50=1000
ここまでで金貨5300枚である。
これもボロ儲けだった。
なのに目の前の商人たちは、ようやくこれからといった様子で身を乗り出してくる。
「いや〜
しかし、凄かったですね」
あの後、たった2日間しかなかったのに、日参する商人は日に日に増えて、それは宿屋を出るまで続いた。
ジェラルディンたちは今、集合場所である中央門前の広場に向かっているが、実はまだ2人ほど薬種問屋を営んでいる商人が付いて来ていた。
彼らは一本でも多くポーションを欲していて、そのためなら同行も厭わない雰囲気だ。
商魂たくましい彼らを、ラドヤードは感心しながら見ていた。




