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179『緊急招集』

 急遽呼び出された冒険者たち、依頼から戻ってきた冒険者たちでごった返すギルドにラドヤードは入っていった。

 そんな巨漢の登場に、みなの視線は一斉にラドヤードに向く。

 そんなことも気にせずに受付カウンターに向かった彼はちょうど空いていた職員に声をかけた。


「すまない。

 緊急招集と言うことだがどう言ったことなのか教えてもらえないか?」


「あ、はい。

 ちょうどこれからギルドマスターより今回の説明があります。

 申し訳ないですがもう少し待ってもらえますか?」


「わかった。邪魔をしたな」


 受付を後にしたラドヤードは、ちょうど人のいない依頼票を貼ったボードの前にいき、そこに掲示されている依頼を見て死蔵されているだろう魔獣たちを思い描いていた。


「失礼。見慣れない方ね。

 この町にはいつ?」


「昨日だ」


 ラドヤードは、突然声をかけてきた女冒険者を睥睨する。


「この場にひとりでいるということはソロなんでしょう?

 ねえ、あたしと組まない?」


 燃えるような赤毛に翠眼の女。

 自分の容姿に自信があり、それをどう見せつければ効果的かわかりきっている女。自信家で自分が断られるとは夢にも思っていない、ある意味タチの悪い人物だ。


「悪いが俺には主人がいる。

 なので他人とパーティーを組むのはあり得ない」


 にべもなく断られた女は、怒りに顔を真っ赤にした。

 だが女を完全無視したラドヤードは、騒がしくなってきた受付カウンターの方に歩みを進める。

 その後ろで女は呪詛のように呟いていた。


「何よ、馬鹿にして。

 許さないわよ、覚えていなさい!」


 ラドヤードはもうすっかり忘れている。




「諸君!

 本日、領主様から特別な依頼が申し渡された。

 昨日より騎士団が討伐に当たっているトロールだが、今朝に至ってもその力拮抗している。

 なので一気に滅ぼす為に今回の緊急招集となった。

 急なことで悪いが今から2刻後、中央門前から出発する。

 なお、重ねて言うが今回は緊急招集である。この場に集まってくれた諸君は誰一人欠けることないと思っている」


 ギルドマスターの話が終わり、ギルドのなかは過去ないくらいに騒がしくなった。

 そんななか、人混みをかき分けてラドヤードはギルドマスターを追った。


「ギルドマスター、少々お時間をいただけませんか」


「何でしょう?」


 ギルドマスターは目の前の男と対峙した。

 この町では初めて見る男だ。

 そして冒険者と言うよりは騎士に近い物腰の巨漢。その男、ラドヤードが口を開いた。


「私は昨日この町に入ったラドヤードと申す。

 実は主人の護衛として冒険者稼業をしているのだが、主人も冒険者登録をしておられるのだ。

 今回の場合、冒険者はこの依頼を強制受諾させられると聞いたが、例外はないのだろうか」


「申し訳ないが強制であり、それを受けないものにはペナルティが発生する。貴殿の主人は傷病の類いなのか?」


「いや、そうではない。そうではないが……仕方ない、お連れする」


「では2刻後、中央門前で」




「そう、わかったわ。支度をしてきます」


 冒険者ギルドから戻ってきたラドヤードから話を聞いて、ジェラルディンはソファーから腰を上げた。

 ラドヤードの心配をよそに本人はなんのその、緊急招集にワクワクである。


「主人様、いつものようには出来ませんよ」


 今回は後ろで大人しくしていて欲しいラドヤードであった。


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