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177『高級旅館(ホテル)【麗しき戦乙女】』

 紹介してもらった【麗しき戦乙女】はギルドが面している中央広場から伸びるメインストリートを真っ直ぐ一区画進んだところにあった。

 それは三階建てクリーム色の瀟洒な建物だった。



「いらっしゃいませ」


「ようこそいらっしゃいました」


 ジェラルディンがラドヤードを従えて扉に向かうと、その両側に立っていた男たちが両開きの扉を開けてくれる。

 中に入ると執事然とした男が近づいてきて、綺麗な礼をし挨拶した。


「今日は宿泊でよろしいでしょうか。

 お嬢様」


「ええ、何日かお世話になると思うの。よろしくお願いします」


「承りました。

 では、どのようなお部屋がよろしいか、こちらで聞かせていただきます」


 そう言って案内されたのは受付カウンターからほど近い書物机と椅子だ。


「どうぞお掛け下さい」


 執事然とした男……この高級旅館(ホテル)の副支配人で総括のアンデルセンは受付にいた女性が持ってきた台帳を手に膝をついた。


「では、ご希望をお聞きします」


「まず、料金は度外視しています。

 彼は……」


 ジェラルディンはちらりとラドヤードを見た。


「従者であり護衛なので、同じ部屋にそれら専用の部屋があるスイートなら問題ないと思います。

 それと、彼ら専用の浴場はありますか?」


「ちょうど良いお部屋に空きがあります。当館で一番上級のお部屋で、ご希望の従者の方の控え室があります。

 また当旅館では皆様に評判の大浴場がございまして、こちらは昼の3刻から深夜の2刻までお使いいただけます」


「まあ、それは良いわね。

 そのお部屋でお願いするわ。

 ラド、10日分ほどお支払いしておいて」


「はい、主人様」


 アンデルセンとラドヤードは帳場に向かい、代わりにやってきたメイドが綺麗な所作で紅茶を出す。

 そして一礼して斜め後ろに控えた。



「お待たせ致しました」


 アンデルセンが戻ってきて、ジェラルディンはティーカップをソーサーに戻した。そしてテーブルに置く。


「紹介致します。

 彼女は、お嬢様がこちらに滞在しておられる間お世話させていただくメイド、ジリでございます」


「よろしくお願いします。お嬢様」


 改めて礼をするジリを見て、軽く頷いたジェラルディンは優雅に立ち上がり、アンデルセンの先導で部屋に向かった。



 部屋に通されたジェラルディンはジリの案内で中を見て回る。

 特に浴室は充実していて、こちらでも入浴を楽しめそうだ。


「充分満足できるお部屋だわ。

 それと、これから私付きメイドになるあなたにお願いしたいのだけど私はこの冒険者というものになるに至って、なるべく自分の事は自分でするようにしたの。

 なのであなたも私が呼んだ時だけ来てくれたらいいわ。

 これからよろしくね」


 ジェラルディンはそう言ってよそ行きの微笑みを浮かべて見せた。

 もちろんジリに否やはない。




「ラド、この町はそれなりの規模のようだし基本的には依頼は受けず、手元にある素材などを換金する程度にして、あとはゆっくりしましょう。

 私はこの国の書などを探してみるわ。

 あなたも何か良い素材があれば趣味の彫金をしてみたら?」


 たまには癒しも必要よ、とジェラルディンは笑った。


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