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165『冒険者ギルドに報告』

 今回、このクメルカナイの領主が一足早く王都に旅立っていたことも混乱に拍車をかけていた。

 先頭に立って指揮を取るものがいないことで、憲兵隊、領主の騎士団、冒険者ギルドがお互いの主権を振りかざし、初期の混乱を作ってしまった。

 今現在も彼らの関係はギスギスしており、抜本的な解決策は決定していない。



 朝一番、厳しい冷え込みのなかジェラルディンとラドヤードはギルドにやって来た。


「おはようございます」


 扉を開けて入っていったジェラルディンたちを見て、カウンターにいた女性職員とバルタンが思わず立ち上がった。


「ルディンさん……」


 呆然と名前を呟く女性職員を尻目に、バルタンが凄い勢いでカウンターから出て来て、ラドヤードに止められなかったら抱きついていたところだ。


「ただいま、バルタンさん。

 少し長期になりましたけど、こうして無事に戻ってきました」


「よくご無事でお戻りになりました。

 どうぞ、どうぞこちらにお掛け下さい」


 いつもは冒険者たちで賑わうギルドは、今は閑古鳥が鳴いている。

 食堂兼酒場のテーブルには食材が積まれていた。

 ジェラルディンたちが座るように勧められたのはギルドの方に設えられた、パーティーが相談などをするテーブルだ。


「それで、攻略の方はいかがでした?」


 ギルドとしては結果が最優先だ。

 ジェラルディンはアイテムバッグからメダルを取り出し、テーブルに置いた。

 それを手にして片眼鏡の位置を直し、そしてしみじみとメダルを見て……


「ルディンさん、これは!!」


 このメダルが示すのは【70】の数字。

 前回より20階層更新して戻ってきた2人を、女性職員などは畏怖の混じる眼差しで見つめている。


「おめでとうございます。

 もしこんな時でなければお祭り騒ぎですよ!」


 バルタンは年甲斐もなく、少年のようにはしゃいでいる。

 無理もない。ダンジョン都市では最深到達階層の更新はほかの何を差し置いても最優先されるものだ。


「う〜ん、それは遠慮させていただくわ。

 どちらかと言えばさっさと報告をしてスッキリさせたいわね」


「では、まずはギルドカードのダンジョン項目の更新をして参ります」


 カウンターの中の女性職員が専用の魔導具を取り出した。

 バルタンが2人から預かったカードを差し込み、記録している。

 そしてすぐに返されたカードの裏には【クメルカナイダンジョン70階層到達】と更新されていた。


「それから、色々と報告することがあるの」


 ジェラルディンはまず【死の舞踏】との遣り取りを説明した。

 そしてダンジョンの監視人の詰所から持ってきた誓約書を取り出して、バルタンの眼前に広げて見せた。


「そういえば、地上に戻ってきてから彼らの事を聞かないけれど、ちゃんと戻ってきているのよね?」


 事情を知るものが見れば、白々しいほどの “ 演技 ”である。


「いえ、実は我々はルディンさんと同行していると思っていたのです」


「そこに書いてあるように同行していたのは20階層までです。

 そこでボス戦を手伝って21階層に入ったところで別れたのですが……しばらく追ってきているのは気づいていました」


「それと。俺にも発言を許して下さい」


 ラドヤードはボス戦での、攻略人数によってお供のオークロードの数が増える事、それがおそらく人数×5であろう事。

 ボスが強化される事を報告した。


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