156『ボス戦!2』
ようやくオークロードを全滅させ、ボスのレッサードラゴンに対峙したジェラルディンたちは、その大きさに目を見張った。
「10mどころか15mはあるわね。
これはブレスの威力も上がっているかもしれないわ」
ちなみにジェラルディンたちの時は初見で異空間に収納してしまい、ブレスどころか動く姿も見ていない。
「主人様は後ろに下がっていて下さい。
俺も参戦します」
「気をつけてね、ラド」
背に背負った、身の丈より大きなバスターソードが鞘から抜かれ、レッサードラゴンに向けられる。
そしてイレミアスの号令で弓師が矢を射かけ、ボスとの戦闘が始まった。
「う〜ん、思ったよりも体力値が削れないわね」
ボス部屋の端、扉近くまで下がったジェラルディンは【鑑定】でレッサードラゴンのステータスを見ていた。
「これは、地道に削っていった方がよいと言うこと?」
今回のボスであるレッサードラゴンの、今現在のステータスは、体力値5850/6200、魔力値3500/3500。
今のところ物理攻撃だけで魔法、いわゆるブレス系は放っていない。
「……少し手強いかもしれないわね」
羽ばたきながら空中に浮いていたレッサードラゴンが、その上体をグッと引いた。と、同時に鋭い牙に囲まれた口が大きく開く。
「退避! 退避だ!!ブレスが来るぞ!」
イレミアスの悲鳴のような声にタンク職の男がタワーシールドを構えて、皆の前に立った。
「盾の後ろに隠れろ!
はみ出したらブレスにやられるぞ!」
ラドヤードは主人の元に走った。
ジェラルディンは今回は、より強力な結界石を身につけている。
もちろんラドヤードもだ。
「主人様っ!こちらに」
レッサードラゴンの口内に光が集束し、ブレスとして放射される瞬間、ラドヤードがジェラルディンを抱え、そのマントで包み込んだ。
この角度での直撃はあり得ないが、いくら結界石持ちであってもブレスを食らうのは御免したい。
「来るぞーー!」
ラドヤードに庇われ、目を瞑っていたジェラルディンだが、その膨大な光源は感じられた。
そして結界石は完璧に仕事をして、ブレスの威力はまったく届いていない。
だが【死の舞踏】の方は無事で済まなかったようだ。
ガランと音を立ててタワーシールドが転がり落ちる。
必死で耐えていたタンク職の男は俯せに倒れ込み、動けない。
魔法士の男が腰のポーチからポーションを取り出し頭からぶっかけている。
イレミアスはブレスを受けて溶けたタワーシールドの代わりをアイテムバッグから取り出していた。
「ラド、少し時間を稼いでやって」
「承知!」
バスターソードを振りかぶり、レッサードラゴンの懐に飛び込んでいったラドヤードが柔らかい腹に向かって剣を振るった。
袈裟懸けから逆袈裟に。
その部分の鱗は他よりも薄く柔らかで、初めて深く傷をつけた。
「ギャアアァァァーー」
ようやく有効な攻撃が入って後退りするレッサードラゴンに向かって、ラドヤードが畳み掛ける。
それを見たイレミアスを始め戦士職の男は剣を振り上げレッサードラゴンに向かった。
「そのまま引きつけておいてくれ!」
弓師の矢がレッサードラゴンの目に向かって放たれ、そのうちの数本が両目に直撃した。
「ギャアアァァァーーっ、ギャアアァァァーー」
今度は先ほどとは比べものにならないほどのたうつレッサードラゴン。
そこに魔法が直撃し、ラドヤードの剣が鱗を削ぐ。
そうして出来た傷に向かって攻撃が集中され、待ちに待った瞬間がやって来た。




