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127『ダンジョンからの帰還』

 20階層でボスを倒し、21階層に進んだジェラルディンたちはキリが良いので一度町に戻ることにした。

 いつものようにラドヤードが抱えて走り出す。

 ジェラルディンが索敵し、向かってくる魔獣を収納して屠るため、かなりのスピードで上がって行く。

 すべて一度通った階層なので、それなりの警戒をしながらすっ飛ばしたラドヤードのおかげで、わずか4日で地上に戻って来ることができた。


「あんたたち……無事だったか」


 9日前、ジェラルディンたちを見送ったのと同じ監視員がホッとした様子で声をかけてきた。

 ラドヤードが黙ってメダルを渡すと、監視員がびっくりした表情で顔を上げた。


「ボスを撃破して折り返してきたのか!?

 それも往復9日とは、これは最速の記録だぞ?」


【銀狼の咆哮】捜索の時は片道でそれくらいだったはずだ。

 あの時はそれもやっと数組がボス部屋の前に到達しただけで、現在あそこに挑戦できるパーティーは限られていた。


「ギルドカードを出してくれるか?

 今回の結果を記録しておく」


 2人がギルドカードを差し出すと、また別の魔導具に通してそれで記録が成されたようだ。


「ボスの討伐は久しぶりだ。

 久々の明るい話題だな」


「私たち、目立ちたくないのですけど」


「一応ギルドは守秘義務があるが、それでも数日すれば広がるだろうな」


 ジェラルディンはラドヤードと視線を合わせて苦笑した。



 ダンジョンに潜って、たった10日足らずの間だったが、季節は厳冬期に移り変わり、下がった気温にジェラルディンは身を震わせた。

 足元には薄っすらと雪が積もり、歩きにくそうにしていたジェラルディンをラドヤードはおもむろに抱え上げた。


「雪の上は歩き方があるんですよ。

 ちょうどこのくらいの雪は滑りやすくて危ないんです。

 主人様、気をつけて下さいね」


 そうこうしているうちにギルドに着いて、自分たちの姿をバルタンに見せておく。

 そして依頼票の貼ってあるボードの方に向かっていった。


「あ、オークの肉の納入依頼がありますよ。

 この値段なら解体費を差し引いても肉屋に卸すのと変わりませんね」


 高いところに貼られたその依頼票をラドヤードが剥ぐと、その下に何枚も同じ依頼票が貼ってあった。


「バルタンさん、この依頼は複数受けても良いのかしら?」


「はい、今はもう厳冬期に入ってしまって、食料の減りが顕著なんです。

 もしお持ちならよろしくお願いします」


 ラドヤードがさらに2枚剥いだ。

 この依頼はオーク肉100kgを金貨3枚で買い上げるもので、それを×3。

 ジェラルディンたちにとっては大した金額ではないが、大量にあるものを死蔵していてもしょうがない。



 久しぶりに仮初めの我が家に帰ってきて、感じたのは微かな違和感だった。

 常々無頓着なジェラルディンにはそれが何かはわからない。

 だが、その違和感が気持ち悪くて、一階の食堂でラドヤードと食事した後は自室からすぐに侯爵邸に転移した。


 久方ぶりの実家は普段と変わらず、ジェラルディンを迎えてくれた。

 すぐにタリアにほぼ強制的に浴室に連れ込まれ、侍女3人がかりで磨き上げられホカホカのピカピカになって寝室に戻ってきた。

 タリアはジェラルディンの筆頭侍女として甲斐甲斐しく立ち働いている。


「姫様、身の回りのものを少々用意致しました。

 あちらにお戻りの際は “ ぜひ ”お持ち下さいね」


 タリアの笑顔が黒い。


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