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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.06~最凶の魂魄族:キストリン編~
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死にゆく国

 過去の情報では国同士が領地争いをするために魔物を狩っており、その中でも西国のモンス、東国のイサンダの両国が緊迫している。


 しかし両国は以前から良好な関係であり国情も豊かで、争うメリットが存在せず裏で何かが動いているのではないか。


 その真意を確かめるために、モンス王国は一度ギルド登録まで行い潜伏した国である。


 そこで出会ったのが、鬼を従える騎士長カイオル。


 赤竜討伐の際に襲ってきたグレイヴィッツを退けた実力を持ち、知略に関しても冴えている。


 赤竜との繋がりを含め、密かに向けられていた疑惑が本物に変わり隼人達の前に立ち塞がった。


 ベルザが足止めをしている間に、隼人とライカはその場から逃れることが出来たわけだが、それ以降のことは一切わからないまま。


 ギルドでの登録もどうなっているかはわからない。


 本来依頼は成功、失敗問わず必ず報告を行う義務があり、そうしなければ依頼の処理が先に進まないからである。


 受託後期限を過ぎれば失敗扱いとなり、その後ひと月に渡り冒険者が姿を現さなかった場合、ギルド長の手続きを踏みギルド登録から除籍される。


 本来は除籍だけで済むのだが、今回は他に参加している冒険者もおり報告は完了しているはずだ。


 その中で唯一報告もなく、行方不明となれば除籍ではなく最悪死亡扱いをされている可能性が高い。


 もしカイオルが生存していた場合には、隼人達には賞金が懸けられている可能性もある。


 結果としては立ち入りをしたくない国の一つであるのには変わりがない。


 そんなモンス王国に大きな問題が発生していた。



 場所は変わりモンス王国城内。


 白衣に身を包んだ初老の男が、王の間にて報告を行っている。


 男の表情からは疲労や不安、焦燥といった様々な感情を汲み取ることが出来る。


 それに対する国王は、毅然とした面もちで話を聞いている。


 察するに白衣の男は医者であろう。


「様々な治療を試してはおりますが、快方に向かうどころか症状を訴える国民は増えていく一方でございます。恥ずかしながら我が国の医療技術では限界かと…」


「ふむ」


 立派に蓄えた白い顎髭を撫でながら考えに耽る国王。


 しばらくして指示を出す。


「引き続き症状の原因解明に励んでくれ。こちらでも何か手を講じよう」


「かしこまりました」


 医者は返事をすると王の間を後にする。


 国王は少し大きめのため息をつく。


「手を講ずると言ったものの、どうすることもできぬ。一体この国に何が起こっておるのだ」


 初めに異常を訴えたのは国民の一人だった。


 数カ月前に突如として身体に表れた紫色の斑点。


 診察を受けるも特に異常は見られなかったが、その斑点は日を追うごとに大きくなってゆき、人体を衰弱させていった。


 その症状はゆっくりではあるが国全体に広がり、異変を感じた国王は専属の医者を派遣し、詳しい検査を行うことにした。


 しかし、結果は同じく不明。


 当初は毒性の疑いもあったが、採取した血液からは毒はもちろんのこと、ウィルスなども検知されなかった。


 現在に至るまでにすでに死者も出ているが、手の施しようがない状態である。


「どうしたら…」


 国としてもかなり危険な状況であることは間違いない。


 謎の疫病と囃され商人すらも近づかなくなってきている状況で、貿易もままならない状態である。


 このままでは国財政が崩れ、いずれは国が滅んでしまう。


「他国も警戒し協力も得られぬ状況。せめて、調査に出ているあの者が何か手がかりを持ち帰ってくれることを祈るしか…」


 以前とは大きく国状が異なるモンス王国へ、隼人達は足を踏み入れるのだった。

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