四天王?キース#02
「あれ? 警戒をされるようなことは喋ってないはずなんだけど、魂が少し僕を避けているみたいだね」
「何を言っているんだ?」
「キースは魂を視ることが出来るの。考えや思考ではなく、魂そのものが発する目に見えない情報。それを視ることが出来るんだよ」「余計何を言っているかわからないが…」
「僕から言えることは、危害を加えるつもりはないってことだけだよ。僕は魔族と人族が争っていようが、手を結んで平和に過ごそうとどちらでもいいからね」
そういうと立ち上がった後に一度頭を下げ、その場から立ち去ろうとする。
すでに危害を加えられたことにはあえて触れず、その背中に一つ質問を投げかける。
「どこへいくんだ?」
「少し南のほうへ。あと魔王様に一つ助言を。技術を売り込むならモンス王国へ行くといいよ。あの国は新しいモノであれば、例え魔族の技術であっても拒むことはしない。ただ、今はそれどころじゃないとは思うけど」
それだけを言い残して姿を消してしまう。
これからの取り組みを見抜かれていることに驚きながらも、その助言を受け入れることにする。
ライカに先ほどまで説明をしかけていた話をする。
「ん~、本当に大丈夫なの?」
ライカは少し疑問を抱きながら、隼人の話には乗り気ではない様子だ。
話の内容を要約すると、魔族の武具や薬などの知識を他国との交友のために利用するというもの。
「ハヤトの考えていることは理解できるんだよ。ただ、それ以上に広がりがイメージできないの。魔族のそういう技術力は人間たちを上回っているのは間違いないし、魔族だからこそ得らえれる素材もある。でもそれを足掛かりに国交を始めたとして、本当にハヤトが望む人間と魔族の共存に結び付くのかな?」
隼人は口元に手を当てながら少し考えたのちに、ライカに他に手立てはあるのか問う。
「不本意だけどモンスにはいく必要があると思う。本当は近づきたくない国の一つだけど、今後はそうも言っていられないし、何よりあいつの情報を手に入れることが出来るかもしれない」
「どういうことだ?」
「ロリコン騎士長に会いに行ってベルザの情報を引き出すんだよ。ただ生きているのかどうか怪しいけどね。悔しいけどこういうことに関してはあいつの専売だから、少しでも情報が得られる可能性があるなら避けることはできないと思う」
魔王の側近であることや戦闘力の高さだけでも、ベルザの実力を語るには十分すぎる。
ただ一つ問題があるとすれば、ベルザにはまだ隼人自身が魔王ではないことを明かしていない。
明かしたことにより協力を得られなくなる可能性だってある。
もしかすればすでに気付いているのかもしれない。
もしそうであれば何故そのまま受け入れているのか理由も問う必要性が出てくるだろう。
ただすべてはベルザに会わなければ始まらないのである。
「明日、向かおう」
翌日、二人はモンス王国を目指すことにする。




