表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.06~最凶の魂魄族:キストリン編~
96/314

女神との再会

 場所は変わり、冥世と呼ばれる空間で男女が話をしていた。


 一人は隼人を異世界へと転生させた女神。


 それに対して座っている男が一人。


「で、なんで戻ってきたの」


「久しぶりの再会なのに冷たいな。それがさっぱりわからないんだよな」


 対峙して話していたのは隼人。


 頭を掻きながら苦笑いをしている。


「というか、ここって初めて来たあの世だよな。ポンコツ女神もいるし」


「貴方、口の利き方を覚えたほうがいいわよ」


「あぁ~、悪い悪い。魔王城に転生をさせた女神にそっくりだったからさ」


「ぐぅっ!」


 痛いところを付かれ、苦虫を噛み潰したような表情を見せる女神。


 一つ咳ばらいをして話を戻そうとする。


「まぁ、多めに見てあげるわ。それでなんで戻ってきたの?」


「気づいたらここにいたよ」


「ふぅ、ちょっと待ってなさい」


 女神はどこからともなく一冊の分厚い本を取り出しページをめくる。


 少しして何かに納得をした様子を浮かべる。


「貴方、魂を切り離されているのね」


「魂を切り離す? それって死んだってことか?」


「正確には死んでないわ。知っている言葉を使うとすれば幽体離脱みたいなものよ」


「幽体離脱ってあの?」


「あくまでも例えの一つで、実際はそれとはまったく異なるわ」


 そのあとも魂と肉体の切り離しについて説明をしてくれたが、複雑すぎる内容で隼人は理解できなかった。


「ただ長時間そのままでいれば、体が魂を拒んで本当に死んでしまうわ」


「それは困るな」


「貴方、この短期間で変わったわね」


「まぁそれなりに苦労してきたからな」


 隼人達にすれば数える月日は長くも、女神にとっては短いのだろう。


 また一つ納得した表情をして、パタンと本を閉じて言葉を続ける。


「魂が離れた場合だけど、本来であれば現世を彷徨いながら、肉体に戻れるかどうかが意志の強さによって決まるわ。大抵は魂が切り離されたことすら気付かずに、本当に死んでしまうケースがほとんどなんだけど、なぜか貴方は意思もあれば魂としても本来の姿を維持している。そもそもこの場所に来ていること自体がおかしいのだけれど」


「素晴らしい女神さまのご加護のおかげかもしれないな」


 少し馬鹿にしたようにそんな言葉を投げかける。


「それもそうね。今回は私が肉体に戻してあげるわ。ただそう何度も私が手を貸せるわけじゃないから… ってなによ」


 鼻高々に喋る女神の姿を少し呆れた表情で見つめる。


 それに気付いたのか、少し語尾を強くする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ