獣人族の二人#01
「ハヤトー、この子達獣人だ」
「獣人?」
隼人たち同様に被っていたローブをライカがはぎ取っていた。
そこには犬のような動物の耳が生えている女の子。
それを確認したのちに、隼人が捕まえている人物のローブも外してみると小さめの耳が生えた男の子だった。
先ほどの訴えと姿を見て、ライカに拘束を解くように指示をする。
「で、どうして俺たちを付けてきたんだ」
「う…」
バツが悪そうな反応を示す。
それを見てため息を一つつき言葉を続ける。
「あのな。人の後ろを付けてきて、それがバレて捕まって誤解です!って弁解したんだ。なにも喋らないなら何を思われても仕方ないぞ」
「…わかりました」
観念した様子で喋り出す。
二人の名前は男の子がレイ、女の子がリーンというらしい。
城へ忍び込んでいるときに、隼人達を見つけついてきたようだ。
「どうして城に忍び込んでいたんだ」
「それは…」
再びバツの悪そうな顔をする。
恐らく後ろめたいことであることは間違いないだろうと察し話を変える。
「俺たちを付けた理由は?」
「魔王様にお願いがあって…!」
先ほどとは打って変わり、縋る様な表情で答えるレイ。
どうやら城内でのやり取りを見かけていたようで、隼人達が魔王という知っていたようだ。
「僕たちを助けてくださいっ! この国は腐っていますっ!」
それは悲痛に似た、この国を糾弾する声だった。
異常を覚えた隼人たちは詳しく話を聞くために場所を変えた。
人気の少ない路地とは言え、人が来ないとは限らない。
他に付けてきていただろう仲間には、追跡を止めさせるように指示を出させた。
獣人族にしか聞こえない特殊な信号弾を利用して、連絡を取り合っていたようだ。
話をするのはレイとリーンの二人だけ、それ以上人数が増えてしまっても容量を得ない可能性が出てくるからだ。
街を抜ければ辺りは砂漠地帯になっており、その街の傍に岩場で囲まれた小さな避暑地がありそこで話を始める。
「それでさっきのはどういう意味だ」
隼人が話題を切り出す。
レイとリーンは顔を見合わせ頷き、隼人達に事情を話始める。
「まずは僕たちの住んでいる場所について話をさせてください」
そういうと現在の境遇について話を始める。
フレムノ王国の外れに位置するスラム街で、多くの獣人族と人間が暮らしているらしい。
お互いに助け合いながら共存をしているようだ。
ただ、ここ最近になり王国からの迫害を獣人族が受けるようになっているらしい。
今まで行われていなかった、騎士たちのスラム街への調査をきっかけに、気に食わないという理由で暴行を受けているとのこと。




