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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.06~最凶の魂魄族:キストリン編~
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ルクアとクィル

 カーテンをくぐりしばらく進むと少し広めの部屋に着く。


 クローゼットやテーブル、椅子など、生活をするための家具が一式飾られており、そのどれもに金の装飾が施されている。


 部屋の奥には大きなベッドが置かれており、その前にハビエルは立っている。


 どうやら誰か寝ており、その人物に話しかけているようだ。


「おい、こっちへくるんだ」


 呼ばれるがままにベッドに近づく。


 ベッドには老人が寝ており、おそらくは前国王だろう。


 そうじゃなければこの部屋の豪華さは説明ができない。


「魔王と名乗る坊やよ」


 小さな声で話しかけてくる。


「坊やが持ってきたこの文書、クィル様からのもので間違いないのかの?」


「クィルを知っているのか」


「お前、言葉に気をつけろ」


 ハビエルが注意をするがそれを制する老人。


 魔王というのであれば同じ王として対等と言い、ハビエルを宥める


「クィル様は元気にしておられるか?」


「あぁ元気すぎて困っているがな。爺さんはどうしてクィルのことを知っているんだ」


 前国王であるルクア・アントンは昔話を始める。


 そもそもクィルとの関係は初代国王までさかのぼるようだ


 クィルの容姿に騙されていたが、竜族は長命であるため老いのスピードも遅い。


 実際クィルの年齢も知らなければ、ここにいるライカの年齢も知らない。


 初代国王と何があったのかは知らないが、受け継がれているのは親交の深い竜族がいるということ。


 そのため掲げている国旗には竜の姿をモチーフにした描かれている。


 ルクアは幼少期のころにクィルと面識があるようだが、詳しい記憶などはもう薄れている。


 ただ非常に優しい人物だった印象は強く残っていたようだ。


「そこにおるのがクィル様の娘さんかの?」


「クィルは私のお母さんだよ」


「母君に劣らぬ、竜族としての気高さを感じる」


「それでどうなんだ?」


 少しの沈黙のあとルクアは尋ねる。


「クィル様からの申し出があっているとは言え、すぐに首を縦に振ってやることはできぬ。この国にも民が住んでおるし、過去に魔族に親を殺されたものもおる。その者たちの思いを無下にすることも、国として住む民に不安を与える選択をすることはできん。第一に魔族をすぐに信じて受け入れることが度し難いのじゃよ。それは理解をしてくれぬか」


 今は国王の座から降りているとは言え、国を想い民を想う王としての意見。


 その思いを踏みにじり強行するほど人の心は捨てていない。

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