ハビエル・アントン#02
ハビエルの言葉に理解を示した二人は頭に被ったローブを脱ぐ。
そこには隼人とライカの二人の姿。
ハビエルは二人を怪訝な表情で見る。
「調べでは魔王とその眷属と聞き及んでいたが」
「その通りさ。俺の名前は隼人。そしてこっちがライカ。ただ眷属という呼び方はしないでほしいな」
隼人の肯定により騎士たちにどよめきが走る。
だが一切ハビエルは動じていない。
「あんたを見込んで話をしに来た」
「お前たちに見込まれる覚えはない」
慳貪な態度を示す。
まともに話を聞いてもらえる状況ではないのは見て取れる。
「単刀直入に言おう、俺たちと対等な立場として書面を通した盟約を交わしてほしい」
城内にどよめきが起こる。
「魔族と盟約を交わせと?」
「突然魔王と名乗る人物が現れ、こんな一方的な提案を持ち掛け混乱を招いているのはわかってい
るつもりだ。だが、人間と魔族との争いは遠い昔に終わっている。これは今後の世界の発展のための提案だ」
「貴様! ふざけるのもいい加減にしろ!」
騎士の一人が声を荒げる。
だがそれを再び制するハビエル。
王の器としてはかなり大きいようだ。
「なぜ我を訪ねた? ほかの3国も選択肢にあったであろう」
「あんたが一番話を聞いてくれるって教えてくれた人がいてな。ついでにこれも預かってきた」
ローブの懐から筒状になった文書を取り出す。
それを近くの騎士に持ってこさせるように指示を出し、受け取り封蝋を確認する。
しばらく眺めたあとに納得をした様子で立ち上がり、ついてくるように声をかける。
その様子を見た騎士たちからは大きなどよめきが起こる。
それを無視して王座の裏にあるカーテンで隠された個室へと姿を消していく。
隼人たちも部屋に入ろうとした時に騎士から怒号が飛ぶ。
「貴様ら! 王に何かしたら許さんぞ!」
「何もしねぇよ。とりあえず、城内の混乱を収めるのが今あんたたちにすべきことじゃないのか?」
「貴様の指図なんぞ受けん!」
軽くため息をつきながらハビエルの後を追う。




