竜の眼
「竜の目といっても儂やライカのような純粋な目ではなく、あくまでも後天的に得ることが出来る言わば能力のようなものじゃ。まぁどういう感じなのかは実際にやってみたほうが良いじゃろうな」
クィルは右掌を上に向けたのちに、隼人に右目で掌を見るように指示をする。
「ハヤトよ、儂の掌に何が見える?」
「何って、何も見えないぞ」
「ライカはどうじゃ?」
「黄色」
色をこたえるライカに疑問を浮かべる隼人。
実際に黄色いものは何もなく、ただの空間がそこに存在している。
「ではハヤト、左目を開けてみよ」
閉じていた左目を開けて再度視線を掌に向けると、そこには確かに黄色の何かが見える。
「黄色の靄? そんなものが見える」
「それが竜の目じゃ。竜の目は相手の魔力の動きを見ることが出来るようになっておる。黄色に見えたのは儂が雷の魔法を使おうとしているからじゃ」
「…どういうことだ?」
クィルはライカに説明を促す。
精霊に魔力、元素など聞いたことのある内容から知らない内容の説明を受ける。
その内容は非常に難解な話で、一度で理解をするのには時間が掛かりすぎる。
「理解できた? …ようにはみえないね」
「お主、頭から湯気が出ておるぞ」
真剣な顔をしながら頭はすでにパンクしている。
戦い倒れ、目覚めてすぐに難しい話をされている。
体も頭も拒否しているのがわかる。
「要はこういうことじゃ」
クィルが補足をする。
火属性の魔法なら赤、水属性なら青、雷属性なら黄、風属性なら緑。
それぞれの精霊には特徴となる色が存在し、それを竜の目を使えば確認ができるということ。
魔力感知とは異なり、相手が使用する属性を先に知ることが出来る。
それを利用することで相手より有利な属性選びをしていくことができるということだ。




