決意#01
「目覚めたかハヤトよ」
「クィル…」
「丸二日というところかの」
気を失ってから二日過ぎていたようだ。
クィルは小さな器の中で何かを混ぜており、辺りを見渡すとライカはまだ寝ていた。
外にはサラマンダーが体を丸め休んでいる姿も確認できる。
閻狐はクィルの傍で寝ているようだ。
「ライカのことは心配しなくてよい。ほぼ魔力が尽きており、回復に時間が掛かっておるだけじゃ」
「そうか、それならよかった」
「そんな状態で悪いが一つ質問をいいかの?」
「なんだ?」
隼人はゆっくり体を起こしながらクィルの質問を聞く。
「お主はいつからライカが正気に戻っていることに気付いておったのじゃ?」
「あぁ、そのことか」
一息つきながら言葉を続ける。
「確信を持ったのは俺の名前を呼んだ時だ。あの無差別な攻撃に関しても、溢れる魔力を放出しながら暴走を必死に抑えていたんだろう。恐らくだけど、ライカも気付かれていることはわかっていたはずだ」
「その上で戦っておったのか?」
「純粋にライカは俺との戦いを楽しもうとしていたのがわかったからな」
「親の儂でもわからぬことはあるものじゃな」
そう言いながらそれまで混ぜていた器を隼人に差し出してくる。
器の中には緑色の液体が器の半分ぐらいまで入っている。
「これは?」
「竜涙草と呼ばれる、この地に生える薬草を細粉してお湯に溶かしたのもじゃ」
隼人は手に取り匂いを嗅ぐ。
青臭さはあるものの、ヨモギのような匂いを感じることができる。
「大きな怪我こそはないが、身体におけるダメージは思っている以上に大きいはずじゃ。これを飲めば明日にでも、山を1つや2つ越えるぐらいは容易いぐらいに回復する」
「流石に山は登ったりはしないけどな」
一思いにぐっと飲み干す。
味に関してはお茶の最後の凄い濃いところをさらに凝縮したような感じで、ただただ苦みが強い。




