決着#03
「ハヤト、なぜこちらに走ってくるのじゃ!」
「すまない! 少しランニングに付き合ってくれ」
隼人はクィルを巻き込みながら走り続ける。
その間、ライカの攻撃は一切止むことがない。
「ハヤトよ。勝てるのか?」
「あぁ、たぶんな」
「曖昧じゃな」
「ライカだっていつまでも元気なわけじゃない。もうすぐ決着をつけようと動くはずだ。そこを突く」
「何か策があるのじゃな?」
走りながらクィルに考えを話す。
それはあまりにも無謀で賭けに近いものである。
クィルは少しため息をつきながら言葉を発する。
「やめろといっても無駄なのじゃろうな」
「さぁ、そろそろ一周だ」
円を描くように一周するころには全体が砂煙に包まれていた。
ただ実際はライカと隼人を隔てるように砂煙の壁ができている状態。
それでも視界を奪うには十分で、ライカの攻撃もピタリと止まる。
「さて、どう転んでもこれが最後だ」
隼人は地面に手を当てながら魔力操作を始める。
「砂煙で姿が見えなくなってしまった。ハヤトはどこにる? 砂煙の中? それとも動いていない? 風で吹き飛ばすにもおそらく悪化するだけだろうし」
状況を冷静に分析をしながら、ただそれでも気は緩めることなく思考を巡らせる。
数秒、数十秒と時間が経過していく中で、徐々に砂煙が薄れ始めたころにそれは起こった。
ライカの背後に隼人が襲い掛かる。




