決着#01
「ハヤト、無理はいけないよ。体は限界なんじゃない?」
「ライカこそ、そろそろ限界じゃないのか?」
「まさか」
イメージを流し込んでいる魔力は少しずつではあるが形を変えていく。
剣というにはあまりに稚拙だが、もう少しでナイフと呼ぶことができるレベルだ。
「(正直限界だ。俺の魔力も負荷をかけすぎて減りが早い。だからといってライカの猛攻を止める術はこれぐらいしかない。もう形はこれで十分だ。あとはライカに向けて放つだけ)」
未完成ではあるがダメージを与えることができる程度の攻撃はできる。
攻撃に意識が集中している分、まだ魔力の存在に気づいていないようにも見える。
同じ攻撃は二度と通用しないと考えるとチャンスは一度だけだろう。。
左手を広げ握りなおし、魔力のナイフを引き寄せる。
だが、一瞬ライカの視線がハヤトの左手に向けられた。
勢いをつけたナイフが背後を捉えたと思ったが、一瞬のうちに飛び退き距離をとる。
もちろんナイフは地面へと刺さり、そのまま消滅する。
「その器用さには本当に驚かされるよ」
「ちょっと困ったな…」
目的である攻撃を止めることは成しているが、少しもダメージを負わせることができなかったのは誤算だ。
「隼人、今ので魔力を結構消費してる。もう時間がないよ」
「あぁ、わかっている」
初めに感じることができていた魔力量が明らかに減っているのがわかる。
水道の蛇口を全開から半分ぐらいに閉めたような勢いだ。
「ん~、こんな感じかな?」
距離をとったライカが何かを呟いている。
離れていても何をしようとしているか目に見えて理解することができる。
ライカを取り囲むように無数の針のようなものが出現していく。
その数はどんどん量を増し数千を優に超える。




