勝負の10分間#02
指輪の魔力を使った雷魔法での身体強化に合わせ、黒剣から流れる魔力によって想像以上のスピードを得た隼人は一瞬のうちにライカの背後をとる。
それに遅れながら反応したライカは後方に蹴りを繰り出す。
「遅いぞ」
体勢を落とし蹴りを躱した隼人は、そのまま黒剣を振り上げる。
黒剣はライカの左の翼を切り落としその魔力を吸収する。
「くっ…!」
大きく飛び退きながら隼人との距離をとるライカ。
その中で雷と風の魔力を手中で混ぜ合わせ、圧縮を行い隼人へ向けて放出する。
しかし隼人は体制を整えながらそれを黒剣で斬り払う。
「流石にその剣はずるいなぁ… うん、私も本気を出さないといけないか」
背中に残った翼を消し、体内に魔力を留める。
大きく息を吸いゆっくりと吐き出す。
「<<竜化>>」
ライカの瞳に魔力が強く宿り、手足の竜化が始まる。
以前見たグレイヴィッツの竜化とは異なり、純白の綺麗な色をしている。
「驚いたのぉ… 部分竜化が扱えるとなると、これはハヤトの優勢というわけでもないかもしれん」
「ハヤトは見たことがあるよね」
「ライカのは初めてだけどな」
「さっきのお返しするね」
大きく距離をとっていたライカが、瞬きをする間もない速さで間合いを詰め拳を打ち込む。
反応が少し遅れたものの剣の面で攻撃を防ぐが、勢いまでは抑えることができず押し出される。
「今度こそは折ったと思ったんだけど、どこにそんな丈夫さがあるのか不思議だよ」
手を何度か握り返しながら感触を確かめる。
「(二人の実力は儂を大きく上回っておる。すべての力を使って能力を強化している隼人と、潜在能力を開放したライカ。互いに今の状態を保ち続けることはできないじゃろう。少なくとも短期戦になるじゃろうな)」
「あっぶねぇ…っ!」
「休んでる暇はないよ」




