勝負の10分間#01
「(とはいえ、万が一の場合は儂も手を出させてもらうぞ)」
「閻狐、一つ聞いていいか?」
「なんだい?」
「閻狐の中にある魔力の放出の方法だ」
閻狐に備わっている能力の使い方について尋ねる。
今のままでは太刀打ちができないのは、隼人自身が十分に理解している。
この戦いでは閻狐の力をどのように使えるかが鍵となる。
「方法は簡単だよ。剣に意識を集中させて魔力の流れをイメージするだけ。そのあとはどのように使いたいかだね」
「例えばだが、それを体内に蓄えることはできるのか?」
「もちろん可能だよ。それに魔力量は純粋な力に直結するから、それだけで大幅な能力アップが見込めるよ。ただ注意してほしいことがある」
「注意?」
「魔力には限りがあるし、剣を手放せば供給も絶たれてしまう」
「もしすべての魔力を使う場合どれぐらいだ?」
「おおよそ10分。もちろん使い方によってはそれに限った話じゃないし、魔力を奪うことができれば多少時間を延ばすこともできるよ」
「10分か…」
「ねぇ~、もういい?」
しびれを切らしたライカが声をかける。
不意打ちもせず律儀に待っているところは竜族の誇りの部分もあるのだろうか。
「どっちみち俺の作戦はそれだけが頼りだし、ダメならダメで仕方ないか」
「隼人らしくていいと思うよ」
剣に意識を集中し魔力の流れをイメージする。
剣に蓄えられた魔力が全身を流れ、明らかに強力な力を感じることができる。
「さぁ、いくぞ」




