提案#02
隼人の言葉に隠された意味を勘ぐりながらも提案を受ける。
ただそれは意外にも冷静に分析を行いっている。
「(提案を持ち掛けるってことは、なにか策があるということだろうけど。ハヤトが今の私に勝てる確率が限りなく低いのは、本人が一番わかっているはずなのに。ただ問題はあの黒剣か…)」
「提案はただ一つ。初めて戦った時と同じように勝敗はどちらかが負けを認めるか、戦えなくなったら負けという内容で戦いたい」
「たったそれだけ?」
「あぁ、それだけだ」」
「こんな提案、元からなかったのと同じじゃない」
「それでどうするんだ?」
「いいよ、その提案をうけるよ」
合意が交わされた。
「ということだから、クィルは離れていてくれ」
「お主一人で戦うつもりか?」
「もとより、ライカは俺としか戦うつもりはないんだろ? なんせ魔王だからな」
嫌味っぽく魔王の単語をライカに向けて発する。
「それに俺がやらないとダメだからな」
「ハヤト…」
クィルが言葉を少し詰まらせた後に言葉を続ける。
「娘との交際はまだ認めんぞ」
「…は?」
「…え?」
隼人に合わせるように思わずライカも言葉を漏らす。
「お主が娘を想う気持ちはなんとなくじゃが、初めて会った時から感じてはおった」
「待て待て待て!」
「隠さなくてもよい」
クィルはゆっくりと歩きながら離れていく。
「本来であれば儂も一緒にライカを正気に戻すべきなのじゃろうが、お主を信じてみよう」
弁解をする暇もなく残されてしまう。
変な空気だけが流れたが改めて隼人はライカと向き合う。




