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提案#01
「ねぇ隼人」
なにかに気が付いた閻狐は耳打ちをしようとするが、それを手で遮るように止める。
「ライカ、一つ提案だ」
黙って隼人の話に耳を傾ける。
「俺とお前の実力は同じぐらいで、このまま戦えばどちらか一方が死ぬことになる」
「私とハヤトの実力が同じ? 面白い冗談だね。それに私は殺すつもりだから何も問題ないよ」
非常に好戦的だ。
「俺は死にたくないし、殺したくもない。俺には世界を救う役目があるし、それにはライカの力が必要だ」
「世界を救う? 魔王なのに?」
「あぁ、魔王だけど救うぞ」
「くだらないね。もっと面白い話かと思って聞いた私が馬鹿だった。大体、私と実力が同じだって本気で言ってる?」
鼻で笑いながらそう言い放つ。
現状だけを整理してみれば、明らかにライカが格上である。
「それならなおさら、俺の提案を受けてくれるよな? それとも格下だと思っている相手の提案を受けれない、何か特別な理由があるのか? 例えば実は負けると思っているとか」
ライカの神経を逆なでする言葉を発する。
「本来なら提案を受ける道理なんて一切ないけど、話を聞いてあげる」




