新しい力:閻狐#03
「それにしてもハヤト。お主はライカに面倒なことを教えたようじゃの」
「面倒?」
「魔力の変わった扱い方を教えたのはお主じゃろ? 雷の壁だと言っておったが。その壁とやらで儂の攻撃の一部が防がれてしまったぞ」
「あっははは! それならクィルももっと強くならないとな」
「一発で伸されたお主に言われとうない」
一通り落ち着いたころにライカの姿が再度現れる。
その手には雷の爪が宿っていた。
「あの爪もお主じゃろ?」
「おぉ~、さすがライカ。もうすっかり自分の物にできてるな」
関心の声を上げる隼人に対し、クィルは軽く肩を落とす。
「お主は随分と余裕みたいじゃが、仮にも一度気を失っておるのじゃぞ。何か勝算はあるのか?」
「気を失ったからこそ手に入れることが出来たモノもあるんだ」
そういうと首から下げている剣を取り出す。
「そんなちっぽけな剣で戦うつもりか? 確かにその剣を手にした時に異様な感じを受けたが、せいぜい果物を切るぐらいにしか使えぬようなサイズじゃぞ」
「正直なところ、俺もこれがどれぐらい使えるのかわからない。でも、やる価値はあるさ。さぁ、力を貸してくれ閻狐!」
突如黒い炎に包まれ形状を変えていく。
形どりながら炎が大きくなり、消えた後には黒い剣身に一筋の赤い線の入った一振りが姿を現す。
隼人の手に馴染み一切の重さを感じない。
それと同時に白いフワフワが姿を現し、隼人の頭に乗る。




