新しい力:閻狐#01
『まってくれ、俺と一緒にいた? 力の解放ってなんだ?』
『ボクは隼人の剣。いつもボクを身に付けてくれていたでしょ。だから隼人のことは知っている』
『身に付けて… まさか、この小さい剣か』
女神から受け取った剣を取り出す。
『そう。その剣にボクは宿っていて、幸か不幸かボクと隼人の意識を重ねるきっかけが出来た。本来ならこんなことをしなくても、ボクを手にした時から本来の力を使うことが出来たはずなんだけど、どうやら女神様が伝え忘れたみたいだね』
『いや、あれは伝え忘れたというかただ仕事が出来ないだけだと思うが』
苦笑いをしながら話を続ける。
『さてと、そんなに時間がないみたいだから大切なことを言うね。今クィルがライカと戦って隼人を守ってくれている。現状優勢な感じだけど、ライカから感じる事が出来る魔力に少し変化が起こっている。急いで助けに行ったほうがいいかもしれないよ』
『クィルが…』
『まず意識が戻ったらボクを呼び出してほしい、そうすれば本来の力を奮うことが出来る』
『どうやって呼び出すんだ?』
『ボクの名前を呼ぶだけ、たったそれだけでいいんだよ。そしてこれは約束してほしいことというか、注意をしてほしいことかな』
『なんだ?』
『ボクを他の人に持たせないこと。ボクは力を貸す代償に所有者の魔力を吸収させてもらっている』
森の中でクィルが手にした時に咄嗟に剣を落としてしまったことを思い出す。




