隼人と妖狐#02
『勝手に納得しようとしているところ悪いんだけどさー。まだ死んだことにしてもらうのは困るんだよね』
声に反応して辺りを見渡すが人影はない。
『あ~、ちょっとそこどいてもらえる? じゃないとぶつかっちゃう』
『いったいどこから?』
『あぁー、これはもう間に合わないね』
隼人の頭に何かが落ち、目の前に転がる。
痛みはなくむしろ何かに包まれたような柔らかさを感じることができた。
目の前に転がる物体は白くてフワフワとしている。
『どこから落ちてきたんだ』
近づこうとすると白いフワフワな物体に小さい三角の耳が生え、太く大きな尻尾が現れる。
『どいてって言ったのに。ぶつかったのはボクのせいじゃないからね』
その姿は小さく、膝下までした背丈のない獣人の女の子だった。
『獣人…?』
『そうか隼人には獣人に見えちゃうよね。でもボクは獣人じゃない、ボクは隼人の剣になる存在だよ』
『なんで俺の名前を? それに剣になるってどういう意味だ』
『そのままの意味だよ。ボクはずっと隼人と一緒にいたし、隼人はボクを使おうとしてくれた。ただ力の解放の仕方も知らないから、本当の意味でボクを使うことはできなかったけどね。でも今回こうして話をすることが出来る機会を得ることが出来た』
どんどん話を進めていく小さな生き物に隼人は全くついていけていない。




