母の想い#01
「止めぬかライカ!」
「あはは! 楽しいね!」
「聞こえておらぬか」
クィルは全身から青白い雷撃を放出する。
それを察してライカは距離を取る。
「戦いに心酔しておって、本来の目的はもうどうでもよいのじゃろうな。記憶の混在によって引き起こっておる感情の昂りであれば、一発殴ってやれば解決でもするじゃろうか?」
「ねぇ! もっと遊ぼうよ!」
「これが遊びというなら、二度と誰も遊んでくれぬじゃろうな。もっと穏やかな遊びにするべきじゃ。仕方ないか、娘の躾も親の役目じゃからな」
クィルは放出した雷撃をそのまま全身に纏い始める。
「母娘じゃからな。出来ることは似ておるが、これはお主にはまだ出来ぬじゃろう。お主が突風であれば、儂は暴風じゃ」
雷撃の色が徐々に黒色へと変化し、それに合わせてクィルを中心に疾風が巻き起こる。
「さぁ、お目覚めの時間じゃ」
クィルの姿がその場から消え、その姿をライカも追うことが出来ていない。
「どこに行ったの!」
「あの時は守ってやれなくて悪かったの」
「そこか!」
声がするほうを風の刃を飛ばすが、壁に痕が残るだけでそこには誰もいない。
「くっ!」
「今度はしっかり、お主が戻るべき場所に連れ戻してやるからの」
「何を言ってるかわかんない!!」
風が吹き荒れる音が大きくなっていき、お互いの声はもう届かない。
「すまぬな、ライカ」
ライカの背後を取り右手に魔力を集中させる。




