ライカの過去#04
「…どうなったんだ?」
「儂はあの後、意識を失ってしまい。手当がされた状態で目覚めた」
「ライカとグレイヴッツは?」
クィルは首を横に振り、言葉を続ける。
「あの後どうなったのかわからん。ただ都からライカは消え、罪はグレイヴッツは追放されてしまった」
「消えたって… 連れていかれたのか? それにグレイヴッツが追放された? なんで?」
「グレイヴッツは責任を取るために追放されたと聞いた。必死に守ろうとしたのにも関わらずに。その話を聞いたのちに必死に訴えたが、結果は変わらずグレイヴッツも戻ってくることはなかった。次に戻ってきた時はお主が聞いた話の通りじゃ」
クィルが隼人を睨む。
「もしお主が魔王だったら首を掻っ切って殺しておったところじゃ。…あの時対峙した人物は魔王で間違いない。大戦のときに見かけた姿、その時に魔王と共に戦うライカの姿を見たときに悲しくも安堵したことを覚えておる」
「でもなんでライカは魔王に付いたんだ」
「恐らく一部の記憶を消された上で、都合の良い話をされたのだろうな。ライカを説得するために綺麗事をならべてな。大戦で魔王が破れてもなお、魔王を慕いミストセルラルに戻ることがなかったのもそんな理由じゃろう」
幻術が終わり元の景色へ戻る。
「グレイヴッツがミストセルラルに現れたときは既に人の姿をしておった。恐らくどこかの地で同族殺しを行い力を得たのじゃろうな」
「クィルは何で王に選ばれたんだ」
「理由は様々じゃ。ただ責任を取れということなんじゃろうな。さて、そろそろライカを起こすとするかの」
クィルは再びライカの前に座り、手をライカの額に乗せる。
そのまま唱え始める。




