ライカの元へ#02
「おい、どうした? おい! クィル!」
「…! す、すまぬ」
「大丈夫か? 顔色が悪いぞ」
隼人は落ちた剣を拾い上げ再度クィルに渡そうとする。
「いや、もういい」
「もういいって、少し手のひらに乗せただけじゃないか」
「出口を目指すぞ」
クィルは踵を返し先に進む。
隼人は拾い上げた剣に目線を落とし、再度首にかけ後を追う。
しばらくすると外へ出る。
それと同時に怒号が飛んでくる。
「『魔王様! 何故勝手に踏み入ったのですか! 例え魔王様でもここは神聖な場所であるとっ!』」
「悪い悪い」
サラマンダの怒号を耳を抑えながら謝る隼人。
「『って、そちらはどなたですか?』」
「ん、知らないのか? お前たちの…」
「中で迷っているところを助けてもらったのじゃよ。」
クィルは隼人を遮り話に割って入る。
「『中で迷って…? ということは他にもこの地に足を踏み入れた人物が…?』」
「おい、なんで隠すんだ?」
「こっちのほうが何かと都合がいいのじゃ」
頭を抱えているサラマンダを横目に、隼人とクィルは聞こえない声で話をする。
どうやらクィルのことは教えないほうがいいらしい。
「でも移動でサラマンダの背中に乗ることになるなら、どっちみちバレるぞ」
「儂もそこまで阿呆ではない。」
「…サラマンダ、急いでライカのところへ戻りたい」
「『…それは大丈夫ですが。そちらの方も一緒にですか?』」
「ダメか?」
「『魔王様はご存知の通り、背に乗せるということはその者を認め眷属となることですので。』」
「古き習わしじゃの…」
そういうとクィルはサラマンダの背中に飛び乗る。




