ヴェノワール森林の少女#02
「ふむ。教える気がないなら別によい。ただこの場所に許可なく足を踏み入れるのは無謀じゃぞ。今回は儂がたまたま見つけたから良かったものの、普通なら一生この場所を彷徨うことになる」
「どういうことだ?」
「この森が神聖な場所であることぐらいは知っておるじゃろう?」
「王が住む場所だとは聞いている」
「うむ。王を護るためにこの森は姿を変える。決して許可なき者が王には会えぬようにな」
「入口も出口もわからなくなる、迷いの森ってわけか」
「迷いの森とは面白い表現じゃが、あながち間違ってもおらんな。さて、お主が良ければこの森へ踏み入った最初の場所まで送り届けてやろう。ただし、儂の質問に答えたらという条件付きじゃ」
1人でこの森を抜けることが出来ない説明を受けた以上、連れて行ってもらうしかない。
選択肢は用意されていない。
「…わかった。質問に答えよう」
「うむ。それではまずは1つ目の質問じゃ」
質問が一つだけじゃないことにツッコミを入れたかったが、この際仕方がない。
「と、その前にこいつを握るのじゃ」
「なんだこれ?」
棒状のよくわからないものを持たせられる。
「そいつはお主の嘘を見抜く道具じゃ。質問に答えても、その内容が嘘じゃ意味がないからの」
「うそ発見器か…」
どうやら質問には素直に答えるしかないようだ。




