ヴェノワール森林の少女#01
「…少し休んでからにするか」
適当な場所に腰を掛けて休む。
ため息をつきながら目をつぶり、これまでのことに思いを馳せる。
この世界に転生をしてから今日まで、ひと月程度しか経っていないが、様々な出来事があった。
「(あの2人と一緒にいたから自分が強くなった気がしてたけど、実際はなんにも変わってないな…。)」
大きく深呼吸を行い目を開けると、隼人の顔を覗き込む人物と目が合う。
「っ!!?いっってぇぇぇぇ!」
あまりの驚きに頭を木にぶつける隼人。
「おぉっ!生きておったのか。迷い込んで息絶えてしまった可哀そうな奴かと思ったぞ」
「くぅっ!…って、ライカ!?」
「ライカ?誰じゃそれは?儂はライカという名ではないぞ」
ぶつけた場所を抑えながら視線を戻すと、そこにはライカに似てはいるが背丈も喋り方も異なる女性が居た。
「お主、こんな場所で何をしておるんじゃ?この場所がどこか知っておるのか?」
「まぁ…」
「知っておって侵入するとは愚かな奴じゃの。大方、途中で疲れて引き返そうにも、引き返す気力がなくなったのじゃろ?」
「いや、まぁ…。というか、あんた誰なんだ?なんでここに居るんだ?」
「儂のことは別に構わなくてよい。それより何の目的があってここに入ったのじゃ」
「…ちょっとな」
サラマンダにも伏せていた本来の理由。
ゲームなどでは玉座にはレア度の高いアイテムがある場合が多い。
それも禁足地と呼ばれる竜の都なら、それこそライカを回復させることが出来る薬があるかもしれない。
ただそれを教える訳にもいかない。




