堕ちた都~ミストセルラル~#01
「とりあえずはここでいいか」
近場の比較的綺麗な場所にライカを寝かせる。
ドラゴンの住処ということもあり、その寝床は遥かに大きい。
家というにはあまりにも規模が異なり、洞窟と言ったほうが適切かもしれない。
「『この場所は普段使われていませんが安全だと思います。。私たちは普段から外で生活をしますので、洞窟を好むドラゴンは少ないのです』」
どうやら本当に洞窟だったようだ。
「ライカは本当に大丈夫なのか?」
「『傷は問題ないと思います。呼吸も安定しています』」
「本当にドラゴンってのは傷がすぐに治るんだな」
「『確かにドラゴンは傷の癒えは早いですが、ここまで早くはありません。ライカ様が特別なのです』」
「特別…か」
グレイヴッツが言っていた言葉を思い出す。
「サラマンダ。ここで暮らしていたドラゴンたちはもういないのか?」
「『少ないですが、まだこの地にもいるようです』」
「少しこの土地を見て回りたいんだが、可能か?」
「『私がお供しましょう。さすがにお一人では他のドラゴンたちのこともありますので』」
こんな惨事があったのちに、知らない人物が土地を徘徊していたら警戒するのは当たり前の話だろう。
「すまないが頼む。ライカちょっと出かけてくる」
返事のないライカに声を掛け洞窟を後にし、再びサラマンダの背に乗りミストセルラルを見て回る。




