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絶対的強者#02
「さて、どうやら飛び立つようですね」
隼人はサラマンダの背に乗り飛び立ち始める。
「(魔王様、またあとでお会いしましょう)」
「くっ…!」
カイオルが震える右手を止めようと必死に抑える。
「どうしました? 先ほどまでの威勢がまるでないですね。まぁそれもそうでしょうね。貴方では私の相手は務まりません」
ベルザが一歩一歩ゆっくりと近づく。
それと同時に、剣を持つ右手から体が黒く染まり始める。
「なんでしたっけ? 冒険者の三名の内二名は交戦中に負傷。そのうち一名は消息不明。でしたか?」
「っ!」
再度、鬼を出すがすぐに消える。
「その報告は変えないといけませんね。討伐参加者の四名の内、三名が消息不明。一名は負傷」
カイオルの目の前で歩みを止めるベルザ。
既にカイオルに剣を構える余裕はない。
「いや、死亡のほうがいいですかね?」
歪んだ笑みを浮かべ剣が振り下ろされる。
次第に魔力を帯びた霧も晴れ、ベルザの姿は既になく、その場にはカイオルがただ一人倒れていた。
一方、隼人はサラマンダと共にミストセルラルを目指す。




