拒む者#02
「魔王様はライカ様を連れてこの場から離れてください。ここは私が引き受けます」
「引き受けるって…」
「この場で二人とも留まれば、ライカ様を助ける事すらできません。それであれば私がこの男の相手をします。隙を見てライカ様を抱えサラマンダのところまで駆けてください」
「…勝てるのか?」
「わかりません。あの男は実力をまだ隠しています。ですが、足止めぐらいはできます」
ベルザが何もない空間から黒剣をとりだす。
「サラマンダと共に竜の都を目指してください」
「竜の都ってミストセルラルか」
「えぇ、話では襲撃を受けているようですが、それでも今は最も安全な場所です」
「…わかった」
「作戦会議は終わったかい?」
「それでは魔王様、またのちほどお会いしましょう」
ベルザが一気に駆け出し剣を振るい、それをカイオルが受ける。
「貴方のお相手は私がさせて頂きます」
ベルザが動きを止めている間に、隼人はライカを背負い走りだす。
「なるほど、相手が一人ならその作戦も有効だろうね。ただ、僕には通用しない」
カイオルの背から、ゆらりと黒い影が生まれ鬼の姿が形成される。
その鬼は隼人たちを狙い動きだす。
「おいおい、こっちに向かってくるのかよ。カイオルの奴、魔物以上に化け物じゃねぇか!」
サラマンダまでの距離は100メートルもないが、その距離が遠く感じる。
「魔法で牽制をっ!」
「足を止めずに走ってください!」
ベルザが声を張り上げる。
「絶対にそちらには向かわせません!」
「…わかった!」
止めかけた足を動かしまっすぐサラマンダの下へ向かう。




