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交渉#02
「金貨20枚」
「それは高すぎる。譲歩できても金貨12枚だ」
「19枚」
「相場を知らないと思ってるのか? 流石に高すぎる」
「なら帰って」
「わかった。13枚まで出そう」
「19枚」
おそらく19枚からは下げるつもりはないのだろう。
見極めがついたうえで隼人は条件を提示する。
「顔を合わせての話し合い。成立後のキャンセルはなし。この2つの条件を飲んでくれるなら、元の希望の20出す。どうだ?」
しばらくの沈黙の後に部屋に明かりが灯る。
それは取引が成立した答えだ。
「依頼の内容を教えて」
店内で対応をしてくれた店員で間違いはないが、先ほどのような雰囲気はない。
これが本来の姿なんだろう。
「それじゃ本題に入ろうか」
隼人は依頼の内容を話す。
獣人を奴隷として扱っている貴族の情報と証拠の回収。
これが今回の依頼だ。
「25枚にしておくんだった」
「そもそも相場はそんなに高くないだろ」
「情報屋に相場なんてない」
それもそうかと納得しそうになったが、それは押さえる。




