情報屋#02
確かに中はトイレではなかったが、暗闇で部屋の中を確認することもできない。
「はいるぞ」
部屋に踏み入るが何も起こらない。
廊下から差し込む光で仄かに部屋の中を確認することが出来るが、部屋の奥までは難しい。
気配もなくこの部屋には隼人とキース以外はいないようにも感じる。
部屋の中央まで進むと勢いよく扉が閉まる。
音に驚き振り返るが先ほどまであった光がなくなったこともあり、一切部屋の状況がわからなくなる。
「こんな状況でもお前は見えたりするのか?」
「魂を視る以外は他の生物たちと視覚能力は変わらないよ」
「魂で場所が分かったりはしないのか?」
「そういう見え方はしないんだよ」
呑気な会話をしているが警戒は怠っていない。
この部屋の中に自分たち以外の気配が潜んでいるのは分かる。
「それで情報屋さんは何がしたいんだ?」
暗闇の中に問いかけるが答えは返ってこない。
正直、指輪を介して魔法を使えばこの部屋を照らすぐらいはできる。
「俺たちは依頼が合ってきた。受けてくれるのか?」
「誰から聞いた?」
ようやく暗闇から返事が返ってくる。
声先ほどの店員とは異なるが、おそらく声色を変えているのだろう。




