情報屋#01
「この腸詰とあとはそうだな…」
「お姉さん魚はある?」
キースが店員に尋ねるが、どう見ても店員は男だ。
それは確かに整った顔をしていて、一見女性にみえなくもない。
人間じゃなかったら、同じように見えてしまうのだろうか。
「すみません。お魚は置いてないんですよ。なかなか仕入れることが出来ないので」
土地柄もあって生物の魚などの保存が扱うのは難しいだろう。
だから基本的には保存が効きやすい、加工品の流通が主流になる。
「なら同じのを僕ももらうよ」
「かしこまりました」
笑顔でその場を離れる店員は、失礼だが店に対しては浮いた存在に見える。
あの接客ならどこの店でも通用するだろう。
忙しいお店が苦手なのか、何かしら理由があるのだろう。
「ちょっとトイレに行ってくる」
隼人はトイレの場所を聞くとキースも立ち上がり後を付いてくる。
教えてもらった扉を開けると少し長めの廊下に出た。
どうやら従業員の休憩室や用具部屋などがあるらしい。
見た目以上に建物は大きいようだ。
「突き当りの左側の扉だったな」
言われたとおりに進み、目的の扉の前に辿り着く。
扉を開けようとするとキースが隼人を止める。
「どうした?」
「本当にトイレに行きたい魔王様には申し訳ないけど、この扉はトイレじゃないよ」
「いやトイレだろ? そう教えられたんだ」
「僕が注文するときおかしいと思わなかった?」
「別におかしくはなかっただろう? 店員を女性と間違えたぐらいで」
「魂を覗ける僕が人間の種別を間違えると思う?」
「……食事もトイレも満足にできないのか」
「漏らさないようにしないとね」
「そうならないように努力する」
冗談を交わしながら扉を開ける。




