路地裏の酒場#03
「常連しか知らないお店だし、僕たちが入ると浮いちゃうね」
「来たことあるんだろ?」
「ないよ。僕は探し物も含めてここでの滞在期間が長いから、ただ知っているだけ」
「それじゃ蛇の巣穴に入ってみるか」
扉を開けると外見からは想像つかない、明るい空間が広がっていた。
多少気になる点はあるが、中心の酒場よりも綺麗だ。
すでに数名が席で酒盛りを楽しんでいるが、こちらを気にする様子はない。
入口で立っていると奥から店員が声を掛ける。
「いらっしゃませ。2名様ですね。お好きなお席へどうぞ」
蛇の巣穴とはいっても、普通の酒場であることには変わりはない。
特別襲われるわけでも、この中に恨みを買っているわけでもない。
近場の席に座るとメニュー表に目を通す。
「それで俺から見たら、酔っ払いのおっさんたちしかいないように見えるが」
「そうだね」
呆気からんとした様子で言い放つキース。
少し問い詰めようとも思ったが、常に情報屋がいるとは限らない。
勝手に会えると思っていたのが、そもそも間違っていたことに気付く。
「居ないなら長居する必要はないな。1杯だけ飲んで出るぞ」
「魔王様がご馳走してくれるの?」
「仕方ない。場所を教えてくれたお礼だ」
店員が注文を取りに来たので飲み物を頼む。
一緒に食べ物も頼みたいと思い、メニュー表を眺める。




