襲われたグライジェ#01
外へ出ると遠くで喧騒が聞こえてくる。
こんな場所で喧騒が聞こえるとしたら集落の方しかない。
隼人とガジットは互いにアイコンタクトを取り静かに集落へ向かい岩陰から様子を伺う。
そこで見えるものはゼロの姿と、数名の獣人だ。
どうやら中心で女の獣人が訴えをしているようだが姿を確認することとができない。
「何か問題でも起こったのか?」
「この声どこかで聞いたことあるな…」
「おい! ハヤトっ!」
隼人は集団に近寄ると、訴えをしている人物を確認する。
「ミーナ、何してるんだ?」
「ハヤト! やっぱりいた! ねぇ大変なの!」
要領を得ず焦りだけを見せるミーナを落ち着かせる隼人。
ゼロは隼人に質問をする。
「この子と知り合いか?」
「そうだな」
「人間と関わらせたくなかったんだがな」
「そりゃ悪かったな。すでに知り合いで。それで少しは落ち着いたか?」
呼吸を整えたミーナが話を始める。
「ハヤト大変なの! グラ爺が!」
「グライジェがどうかしたのか?」
「変な奴らが来て、それで!」
「とりあえず向かったほうが良いってことだな?」
「うん!」
隼人はゼロの方を見ると、ゼロは仕方ないという顔をする。
ガジットには一瞥することなく、ミーナと獣人街へと向かう。
道中で落ち着きを取り戻したミーナから詳細を聞くことが出来た。
どうやら家に掛けられている隠蔽魔法が解除されると、数人の獣人が入り込んできてグライジェに質問を始めたらしい。
部屋の奥にいたミーナに気付くことはなく、グライジェの合図をもらい抜け出してきたということだ。




