グレイヴッツ
白銀の体表はライカと同様、アークドラゴンということを感じさせる。
「随分と苦しそうだな? さっきまでの威勢はどうした?」
グレイヴッツがライカの首を掴み持ち上げる。
「ぐぁ…」
「ライカ!」
「おっと近寄るなよ? 間違えて首の骨が折れてしまうぞ?」
隼人とベルザの動きを制する。
「さて、ライカ。お前は過去に起こした記憶に蓋をされているようだ。このまま一思いに殺してもいいが、それじゃ面白くない。一体お前が何をしたのか、それを知り絶望する必要がある」
「がはっ!」
ライカから吐き出される血が、グレイヴッツの顔にかかる。
「ベルザ、ライカは大丈夫なのか?」
「致命傷ではない… と思います。ただ安静にすることに越したことはありません」
助けに行くにも行動を制限されているため、安易に動くことができない。
「この…っ!」
ライカが力を振り絞って振りほどこうとする。
ただ明らかな力の差の前にそれは敵わない。
「ふん」
しかしグレイヴッツは手を離し、ライカを解放する。
「ごほっごほっ!」
「お前は生まれ持った力で一族を殺し、そのうえで守られ生きてきた。アークドラゴンで先天性をもって生まれたというだけの理由でな。俺もお前もアークドラゴン、竜族を統べる力を持っているのには変わりがない。だがお前は全てが許され、俺たちは許されたことはなかった」
「だから… なにを言ってるのか、さっぱりだって言ってんでしょ!」
ライカが隙を見て攻撃を仕掛けるが、その前に蹴り飛ばされる。
「ライカ!」
「ドラゴンの瞳には特殊な魔力が流れている。その力を使えば、相手の精神を壊すことも簡単だ。もちろん、なくした記憶を呼び起こすこともできる」
ゆっくりと歩みより、ライカの髪を掴んで顔を向けさせる。
「あぐぅ…」
「ライカ、お前の記憶の蓋を開いてやる」
ライカとグレイヴッツの眼が合う。
その直後、ライカは叫び声を上げたのちに意識を失った。




