四天王カイル#01
「なるほど。つまりゼロを焚きつけるために嘘をついて、この牢獄に入れられたってことか」
「そうだな。もしゼロが首謀なら俺の話に乗るだろうし、こんな対応をとることもなかった」
カムイは獣人街に戻った後、ガジットと再会。
ガジットは一部の獣人たちの不穏な動きを感じ取り情報収集を行っていた。
突如として戻ってきたカムイに対して驚きながらも、現状の獣人たちの情報を共有すると、カムイ自ら今回の行動を起こした。
事の首謀者を絞り込むために。
「それで首謀者がクラウディアっていう獣人ってことか?」
「あぁ」
「お前は大丈夫なのか? 勿論まだ決まったわけじゃないが、もしクラウディアだっていうなら」
「…責任はとらなくてはいけない。それが俺の罪でもある」
「一体どんなやつなんだ、クラウディアってのは?」
「…俺の妹さ」
カムイは妹を探していたはずだ。
その妹が獣人街に戻ってきたという情報を得て戻ってきた。
一族の裏切り者と呼ばれ、この地に足を踏み入れること自体が困難な状況だったはずなのに。
「とりあえず俺が持っている情報を二人に改めて共有する必要がありそうだな。ハヤトも何か情報を持っているようだし、ひとまずこの場所から抜け出さないといけない」
ガジットはこれまでの隼人との会話から、何か情報を持っていることを確信していたようだ。
「ただ俺もここら辺では嫌われ者だ。姿を見せてゼロに伝えたところで、お前はここから出してもらえないだろう。ただお前だってこんなところで無駄な時間を過ごす暇もないだろう?」
「わかっている」
「ハヤト。ゼロとの会話はお前が主体になるだろう。俺たち二人は…」
「訳ありなんだろ? わかったから、さっさとここから出るぞ。俺はいつ看守が戻ってくるんじゃないかってヒヤヒヤしてんだ」
「ということらしい」
カムイを牢から出すと来た道を辿って秘密基地へと戻る。




