脱獄の手引き#03
「どうだ? 監獄生活は?」
考え事をしている間に対象の人物の前に辿り着いていたようだ。
ガジットは親し気に声を掛ける。
「案外悪くはない。外ほど暑くもないからな。それで客人か?」
姿を見せていない隼人に気付いていたようだ。
「客人かどうかは知らない。俺がただ連れてきただけだ」
「お前に付き合うとは変わった奴もいるんだな?」
「それで何かわかったのか?」
「あぁ、ゼロは白で間違いない」
「そうなるともう一人のほうか」
「考えたくはなかったが、その可能性が高いな」
「複雑だな」
内容は理解できないが、あまり良い話ではないことは理解が出来る。
「割って入って申し訳ないが、あんたたちは何を調べているんだ?」
ガジットは牢に入っている人物とアイコンタクトをとる。
「俺は別に話しても構わないと思っているが、お前はどうだ?」
「姿を見せない相手に何を話す必要がある?」
ごもっともな意見だ。
それに今の話の雰囲気的に情報を得る価値のほうが高い。
別に姿を隠す必要性もないだろう。
「すまないな。これでいいか?」
隼人はガジットの横に並び、牢の中に視線を向けると驚く。
そこにいたのはつい数日前に出会ったカムイだった。
「カムイか?」
「こんなところで再会とはな」
「……なんだ面識ありか?」
「ハヤトには命を助けられた。なるほどな。ハヤトなら話しても問題はないだろう」
そういうとカムイの口から簡潔に要点を抑えた説明を受ける。




